AIに関する最新事例の紹介
ジェネレーティブAI勉強会が、2月21日(水)に、一般社団法人 生成AI協会(GAIS)主催で開催されました。
全国に広がり始めた行政ChatGPTの最新事例
村井宗明氏(東武トップツアーズ CDO)
東武トップツアーズのCDOである村井宗明氏によるプレゼンテーションです。彼は公務員専用AI「マサル君」の開発者であり、行政でのAI活用について語っています。
村井氏は、自身の背景として、元国会議員であり、現在は行政専門のITエンジニアとして活動していることを紹介しました。彼は、行政に特化したAI「マサル君」が、現在約300〜400の自治体で利用されており、これにより行政業務が大幅に効率化されていることを説明します。
「マサル君」は公務員専用に設計されており、行政用語やデータを学習しています。これにより、公務員は効率的に答弁案やメール文案、提案書などを作成できるようになり、民間版のChatGPTとは異なり、行政専門の情報を提供することが可能です。
村井氏はまた、AIの利用が自治体によって異なる事例を紹介し、特に公共交通や子育て支援などの地域特有の問題解決に役立てていることを説明します。また、行政AIの利用状況についてのデータを共有し、最も多く使われているのは提案作成や企画作成であること、そして自治体固有の情報に関する問い合わせが最も多いことを明らかにしました。
最後に、村井氏は、行政AIが今後どのように発展していくかについての見通しを述べ、住民サービスの改善においてAIの役割がさらに増大していくことを予測しています。彼は、自治体のニーズに合わせたカスタマイズされたAIの開発が進んでおり、これが行政サービスの質と効率を大きく向上させると強調しました。
ChatGPT利活用を促進する 3ステップと段階別施策を成功事例で解説!
山川雄志氏(株式会社ギブリー 取締役 OperationDX部門長)
企業でChatGPTを利用するにはまず、情報セキュリティが確保された環境での使用から始めるのが一般的です。これはステップ1とされ、多くの企業がこの段階にあるとのこと。続くステップ2では、実際に業務にChatGPTを適用し、成果を見始める企業が増えていると言います。ステップ3では、ChatGPTを業務に本格的に組み込み、オペレーションシステムの構築やデータ基盤の整備を行う段階ですが、これに至る企業はまだ少ないとのことです。
また、山川氏はプロンプトエンジニアリングの重要性を強調し、正確な回答を得るためには適切なプロンプトの作成が必要であることを説明しています。さらに、自社のサービスである「法人GI」を例に、ChatGPTを業務に適用する際の具体的な方法を紹介しています。
最後に、山川氏はChatGPTを活用した業務改善に関して、企業が直面する可能性のある課題や、その解決策について話し、ギブリーが提供するプロフェッショナルサービスやトレーニング、プロダクトの紹介を行いました。これらのサービスは、企業がChatGPTを活用して業務改善を行う際の支援を目的としています。
地方課題における生成AIの可能性と学習データ活用のコツ
鈴木 康太氏(株式会社SHIFT PLUS R&D室長)
株式会社SHIFT PLUSのR&D室長である鈴木康太氏によるプレゼンテーションです。彼は地方課題における生成AIの可能性と学習データ活用のコツについて話しています。
鈴木氏はまず、地方、特に高知県で直面している人口減少や高齢化などの社会課題について説明し、これらの課題がどのように地方のインフラや経済に影響を与えているかを紹介しました。彼は、これらの問題に対してデジタル技術、特に生成AIを活用することで、新しい解決策を開発し、地方の課題に対処する可能性があると述べています。
次に、学習データの活用について話し、実際のプロジェクトでの学習データの作成、検証、評価の過程で遭遇した課題や苦労について共有しました。彼は、地方課題に特化したカスタマイズされたソリューションの開発が重要であると強調し、地方の人々が直面する具体的な問題に焦点を当てることの重要性を指摘しています。
鈴木氏はまた、地方での生成AIの活用により、新しい職種や働き方が生まれ、地方経済に新しい機会をもたらす可能性があると述べています。彼は、このような技術が地方にもたらす変化を積極的に捉え、地方特有の課題解決に取り組むことの重要性を強調しました。
最後に、鈴木氏は、地方課題の解決に取り組む上で、技術的なサポートやアドバイスが必要であり、多くのステークホルダーとの協力が必要であると述べ、視聴者に対して協力を呼びかけました。彼は、地方の課題解決において生成AIが果たす役割に大きな期待を寄せています。
ハッカソンから見えてきたGPTsビジネス利用の可能性
河津大誠氏(株式会社AITech 代表)
AITech株式会社の代表である河津大誠氏によるプレゼンテーションです。彼は、学生ベンチャーとしてAI企業を立ち上げた経験を持っています。企業のミッションは、AIによる単純作業の自動化を通じて、従業員がそれぞれの専門性を発揮できる環境を実現することです。また、河津氏は科学と哲学を結びつけるビジョンを持ち、将来的にAI技術が人間の本質に関する問題を探求する可能性を秘めていると考えています。
プレゼンテーションの主な内容は、GPTを使用したハッカソンについてです。このハッカソンはオンラインで行われ、220人が参加しました。目的は、ビジネスにおけるGPTの応用可能性を探ることでした。特に、GPTを独自にカスタマイズして、特定のタスクに特化させることのできる点が強調されました。ハッカソンでは、参加者が様々な用途でGPTをカスタマイズし、その成果を共有しました。上位のプロジェクトには、スタートアップの評価、家計簿分析、論文情報の整理といったものがありました。これらのプロジェクトは、非エンジニアでもGPTを用いて有用なツールを作成できることを示しています。
河津氏は、ハッカソンがGPTの新たな使用方法を発見し、多様なバックグラウンドを持つ人々が集まる場を提供したことを強調しました。彼はまた、GPTがどのように機能するかの理解を深めることが重要であると述べ、次回のハッカソンについても言及しました。最終的に、彼はこの技術を実際に使ってみることの楽しさと価値を強調しました。
主催団体
GAIS
代表理事:上村章文 (うえむら あきふみ)
一般社団法人デジタル田園都市国家構想応援団 理事
1979 年 自治省入省
青森県企画課長・地方課長、香川県企画部長・総務部長など地方公共団体幹部を歴任。地域の総合計画立案、情報政策、食関連プロジェクト、まちづくり政策などを立案・推進。