• 診断項目 No.96/127
  • 巡回範囲・サプライチェーン
  • 重大度 参考(info)

同一オリジンを限定巡回とは?確認ページ数の意味・巡回のルール・診断基準

同一オリジンを限定巡回は、セキュリティ診断でトップページと同じオリジンのページだけをGETで最大5ページ確認する仕組みです。巡回の優先順位、安全のための除外ルール、結果の読み方と網羅性の高め方を解説します。

結論(同一オリジンを限定巡回)

同一オリジンを限定巡回とは、セキュリティAIチェッカーがトップページから直接リンクされた同一オリジン(スキーム・ホスト・ポートが一致)のページを、GETのみで最大5ページまで確認する仕組みと、その実施結果の記録です。重みは0で総合スコアには影響せず、確認できたページ数と取得失敗数を示して、Cookieやヘッダー整合性など複数ページを対象とする判定がどの範囲に基づくかを明らかにします。

この記事のポイント

  • 巡回は同一オリジン・GETのみ・最大5ページ(トップページ+4件)に限定し、対象サーバーへの負荷と意図しない操作を防ぎます。
  • パスにlogout・delete・unsubscribeなどを含むURLや、CSS・画像・PDFなどの静的ファイルは巡回しません。
  • ログイン・管理画面系のリンク、GETフォームの送信先、/api/ パスの順に優先して選びます。
  • 全候補を取得できれば○、1件でも取得に失敗すれば△ですが、重み0なのでスコアは変わりません。
  • 確認ページ数が少ないと他の複数ページ判定が対象外になりやすく、重要画面は個別にURLを入力して診断します。
診断項目名同一オリジンを限定巡回
項目IDcrawl.coverage
分類巡回範囲・サプライチェーン
重大度・配点の重み参考(info) 重み 0
関連する標準・ガイドラインOWASP WSTG v4.2 WSTG-INFO-06(Identify Application Entry Points)・WSTG-INFO-07(Map Execution Paths Through Application)/関連項目 crawl.security-header-consistency・crawl.sensitive-cache・cookie.*・headers.cors-*

同一オリジンを限定巡回とは

同一オリジンを限定巡回とは、セキュリティAIチェッカーが、トップページから直接リンクされた同一オリジン(スキーム・ホスト・ポートが一致)のページを、GETのみで最大5ページまで確認する仕組みと、その実施結果の記録です。

4/5ページをGETのみで確認し、取得失敗は1件です。

この項目は、診断AIが「トップページ以外にどのページを、何ページ確認できたか」を利用者に示すためのものです。セキュリティ上の良否を評価するものではなく、重みは0で総合スコアに影響しません。

Webサイトのセキュリティ設定は、ページごとに異なることがよくあります。トップページにはセキュリティヘッダーが付いているのに、CMSの別機能や外部委託のサブシステム(電子申請、施設予約、問い合わせフォーム)では付いていない、ログインページだけキャッシュ制御が不適切、といった状態です。OWASP WSTGでも、アプリケーションの入口(WSTG-INFO-06)や実行経路(WSTG-INFO-07)を把握することが、テストの前提として位置付けられています。

一方、公開サイトを無制限に巡回すると、対象サーバーに負荷を掛け、意図しない操作(ログアウト、削除、購読解除など)を引き起こすおそれがあります。そこで本診断は、同一オリジンに限定し、GETのみで、最大5ページという上限を設けた「限定巡回」を行います。本項目はその実施結果(確認ページ数と取得失敗数)を記録し、複数ページを対象とする他の判定がどの範囲に基づくかを明らかにします。

なぜ巡回を「同一オリジン・GETのみ・5ページ」に限定するのか

限定する3つの理由

  • 安全性:GET以外のメソッドは状態を変更する可能性があるため使いません。GETであっても、URLのパスに logout・signout・delete・remove・destroy・unsubscribe を含むものは、実装によっては状態を変えるため巡回対象から外します。
  • 負荷:自治体サイトは小規模なサーバーで運用されていることも多く、短時間に大量のリクエストを送るとサービスに影響します。上限5ページはこの配慮によるものです。
  • 範囲の明確化:同一オリジン(スキーム・ホスト・ポートが一致)に限ることで、他組織のサイトを診断してしまうことを防ぎます。外部ドメインへのリダイレクトで到達したページも対象外とします。

巡回するページの優先順位

限られた件数で重要な画面を確認するため、トップページのHTMLから候補を集め、次の優先度で選びます。

優先度候補理由
0hrefに /login・/signin・/admin・/account・/mypage・/my-page を含み、その直後が /・.・?・# または末尾であるリンク(例 /login、/admin/、/mypage.html)認証・個人情報を扱う画面は設定不備の影響が大きい
1method="get"(省略時含む)のフォームの送信先検索など入力を受け付ける入口
2/api/ で始まるパス(フォーム送信先やスクリプト中の文字列)APIの応答ヘッダー・CORSの確認対象
3その他の <a href> リンク一般ページ

CSS・JavaScript・JSON・XML・テキスト・CSV・画像・PDF・Office文書・ZIP・フォントなどの静的ファイル(拡張子で判定)は、ページとしての巡回対象から除外します。

限定巡回についてよくある誤解

  • 「5ページで問題がなければサイト全体が安全」:限定巡回は代表的な画面の抽出確認です。リンクされていない管理画面や、ログイン後の画面は確認できません。
  • 「取得失敗は脆弱性」:タイムアウト、外部ドメインへの転送、WAFによる遮断など、失敗の原因は様々です。失敗が多い場合は、他の複数ページ判定の根拠が少ないことを意味します。

同一オリジンを限定巡回の診断基準(セキュリティAIチェッカー)

巡回の手順

  1. 入力URLを取得し(リダイレクトは最大4回、タイムアウト15秒)、最終URLのHTMLを得ます。トップページがHTTP 403または429を返した場合は、対象サイト側のアクセス制限とみなし、レポートを返さず診断全体をエラーにします。
  2. HTMLから <a href>、<form action>、引用符で囲まれた /api/... 文字列を抽出し、相対URLを絶対URLへ変換します。href は引用符で囲まれた値だけを読み、属性値に < や > を含むタグは抽出しません。フラグメント(#以降)は除去し、認証情報付きURLやhttp/https以外のスキームは捨てます。
  3. 最終URLと同一オリジンの候補だけを残し、除外語を含むパスと静的ファイルを外します。
  4. 優先度順に並べ、最大4件を選びます(トップページと合わせて最大5ページ)。
  5. 各候補をGETで取得します(リダイレクト最大3回、タイムアウト7秒、最大500,000バイト)。取得後の最終URLが別オリジンになった場合は失敗として扱います。
  6. 取得に成功したページ(HTTPステータスは問わない)を、Cookie・ヘッダー整合性・no-store等の複数ページ判定に使います。

診断サーバー側の安全策

全通信は、名前解決したIPアドレスが内部ネットワーク(プライベートアドレス、ループバック等)でないことを確認してから接続し、診断サーバーが内部資源へ到達しないようにしています。本文は展開せずに読むため、リクエストには Accept-Encoding: identity を付けて無圧縮の応答を求めます。

アクセスを制限された場合の扱い

診断の最後にはトップページをもう一度取得します。HTTP 403/429または無応答に変わっていて、診断中の応答も末尾まで拒否・無応答が続いていた場合は、途中からアクセスを制限されたものとして、レポートを返さず診断全体をエラーにします(数分おいて再実行)。拒否が最後の再取得だけなら、レポートは返します。レポートの項目はREADMEの診断項目表と同じ順に並びます。

判定条件

判定条件得点への影響
○ 問題なし(pass)選んだ候補をすべて取得できた(候補が0件でトップページのみの場合を含む)なし(重み0)
△ 要確認(warn)候補のうち1件以上の取得に失敗したなし(重み0)
  • 根拠欄には「確認ページ数/上限5」と「取得失敗件数」を表示します(例「4/5ページをGETのみで確認し、取得失敗は1件です」)。
  • 重み0のため総合スコアは変わりませんが、判定状態が「対象外」ではないので判定可能率の分子に数えられます。
  • 重大度はinfoです。

自治体サイトでの判定例

状況判定
トップページに「ログイン」「サイト内検索」「お知らせ」などのリンクがあり、4ページ取得できた○ 問題なし(5/5ページ)
「マイページ」が外部の電子申請サービス(別ドメイン)にあるそのリンクは同一オリジンでないため候補外
トップページがJavaScriptで描画され、HTMLにリンクがほとんど無い○ 問題なし(1/5ページ。ただし複数ページ判定の根拠が少ないため、結果の解釈に注意)
候補ページのうち1件がWAFに遮断されタイムアウト△ 要確認(4/5ページ、失敗1件)

最後の例で、診断中の応答から最後のトップページ再取得まで403/429・無応答が続いた場合は、判定を出さず診断エラーになります。

巡回結果はどの判定に使われるか

診断結果画面とテキストレポートには「確認ページ数/上限」が表示され、診断APIの応答には上限(5)、確認したページのURL一覧、API候補、取得失敗件数が含まれます。各ページの結果は次の判定の根拠になります。

判定巡回結果の使い方
「ページ間のセキュリティヘッダー整合性」確認した全ページでCSP・nosniff・Referrer-Policy・X-Frame-Optionsの値を比較(2ページ以上で判定)
「認証関連ページのno-store」ログイン系パスのページに Cache-Control: no-store があるか
「CookieのDomain/Path範囲」・「Cookie接頭辞の要件」・「Partitioned Cookieの要件」・「Cookie名・値のサイズ上限」ほか全ページの Set-Cookie をまとめて評価
「任意Originを反射しない」・「動的CORSでVary: Originを返す」/api/ 候補(最大3件)へ未許可Originを付けてGETし応答を確認

このため、巡回ページ数が少ないと、これらの判定は「対象外」になりやすく、判定可能率が下がります。重要画面がトップページから直接リンクされていない場合は、そのURLを入力して個別に診断することで補えます。

判定の限界

  • JavaScriptで生成されるリンク、ログイン後のページ、リンクされていないページは対象外です。
  • 巡回は1階層のみ(トップページから直接リンクされたページ)です。
  • 取得した応答が404等のエラーでも「取得成功」として他の判定に使われます。

巡回範囲が狭いとどんなリスクがあるか

本項目自体は脆弱性を示しません。注意すべきは「診断範囲が狭いことによる見落とし」です。

  • サブシステムの設定不備の見逃し:自治体サイトでは、本体CMSと、委託先が運用する予約・申請・アンケート等のシステムが同一ドメイン上に混在することがあります。限定巡回で拾えなかった画面にセキュリティヘッダーの欠落や不適切なCookie設定が残っている可能性があります。
  • 安心の誤認:確認ページ数が少ない(1/5など)状態で総合スコアが高くても、それはトップページの設定を主に反映した結果です。
  • 巡回失敗の背後にある問題:取得失敗が多い場合、WAFの過剰な遮断や応答遅延など、利用者にも影響する可用性の問題が隠れていることがあります。

診断の網羅性を高める方法・対策(Apache・nginx・IIS・Next.js)

本項目は修正対象ではありませんが、診断の網羅性を高め、結果を正しく読むための対応を示します。

重要画面を手動で追加診断する

ログイン画面、電子申請・施設予約・問い合わせフォーム、管理画面のURLを、個別に診断対象URLとして入力し、同じ項目を確認します。

全ページへ同じ設定を適用する

ページ間で設定がばらつかないよう、セキュリティヘッダーはアプリケーションごとではなく、Webサーバーやリバースプロキシの共通設定で付与します。

# Apache: サイト全体に適用(.htaccessをドキュメントルートに配置)
<IfModule mod_headers.c>
  Header always set X-Content-Type-Options "nosniff"
  Header always set Referrer-Policy "strict-origin-when-cross-origin"
  Header always set X-Frame-Options "SAMEORIGIN"
</IfModule>
# nginx: serverブロックに記述(locationでadd_headerを使うと継承されない点に注意)
add_header X-Content-Type-Options "nosniff" always;
add_header Referrer-Policy "strict-origin-when-cross-origin" always;
add_header X-Frame-Options "SAMEORIGIN" always;
<!-- IIS: web.config -->
<system.webServer>
  <httpProtocol>
    <customHeaders>
      <add name="X-Content-Type-Options" value="nosniff" />
      <add name="Referrer-Policy" value="strict-origin-when-cross-origin" />
    </customHeaders>
  </httpProtocol>
</system.webServer>
// Next.js: next.config.ts で全パスに適用
async headers() {
  return [{ source: "/:path*", headers: [
    { key: "X-Content-Type-Options", value: "nosniff" },
    { key: "Referrer-Policy", value: "strict-origin-when-cross-origin" },
  ] }];
}

取得失敗の原因を確認する

curl -s -o /dev/null -w '%{http_code} %{time_total}s %{redirect_url}\n' https://www.city.example.lg.jp/login/

タイムアウトが続く場合は、サーバー負荷やWAFの設定を確認します。診断ツールのアクセスを遮断する設定自体は問題ではありませんが、正規の利用者まで遮断していないか確認します。

サイトを壊さないための注意点(ガードレール)

  • 全体設定でヘッダーを追加する前に、iframe埋め込みを行うサブシステム(X-Frame-Options)や外部連携(CSP)が壊れないか、検証環境で確認します。
  • 状態を変更する操作(ログアウト、削除等)をGETで実装している場合は、POST+CSRFトークンへ改めます。クローラーや先読み機能が誤って実行するおそれがあるためです。

よくある質問(FAQ)

「同一オリジンを限定巡回」が△だとスコアは下がりますか?

下がりません。この項目は重み0の説明用の判定で、総合スコアには影響しません。ただし「対象外」ではないため、判定可能率の計算対象には含まれます。

セキュリティAIチェッカーは、なぜ同一オリジンを最大5ページしか巡回しないのですか?

自治体サイトは小規模なサーバーで運用されていることも多く、短時間に大量のリクエストを送るとサービスに影響するためです。GET以外のメソッドも状態を変更する可能性があるため使いません。

5ページで問題がなければサイト全体が安全ですか?

いいえ。限定巡回は代表的な画面の抽出確認です。リンクされていない管理画面やログイン後の画面、JavaScriptで生成されるリンク先は確認できません。

取得失敗は脆弱性があるという意味ですか?

そうではありません。タイムアウト、外部ドメインへの転送、WAFによる遮断など原因は様々です。失敗が多い場合は、他の複数ページ判定の根拠が少ないことを意味します。

電子申請や施設予約の画面も診断したいときはどうすればよいですか?

その画面のURLを診断対象URLとして個別に入力します。トップページから直接リンクされていない画面や、別ドメインで運用されている画面は限定巡回では確認できないためです。

診断中にアクセスを拒否されるとどうなりますか?

トップページがHTTP 403や429を返した場合は、レポートを返さず診断全体をエラーにします。診断中から最後の再取得まで拒否・無応答が続いた場合も同様で、数分おいて再実行します。

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参考資料