付録すぐ使える一覧/付録B
提案書のNG表現・言い換え集 ― 入札で点を落とす曖昧・責任回避・誇張の言葉と直し方
提案書のNG表現とは、何をするか、誰が責任を持つか、どの程度かが読み取れず、評価者が点を付ける根拠にならない言葉です。入札・プロポーザルの提案書で点を落としやすい表現を、「適切に対応します」などの曖昧な表現、「努めます」「検討します」などの責任を避ける表現、「業界トップクラス」などの誇張した表現の3つに分け、弱い理由と言い換え例を一覧表にしました。言い換えは自社が実際に約束できる範囲で行い、条件付きの内容は条件を明記します。推敲や生成AIでの書き直しの基準にも使えます。
要点(結論)
提案書で点を落としやすい表現を「曖昧な表現」「責任を避ける表現」「誇張した表現」の3つに分け、弱い理由と言い換え例を一覧にします。言い換えは、自社が実際に約束できる内容の範囲で行ってください。
曖昧な表現
| NG表現 | なぜ弱いか | 言い換え |
|---|---|---|
| 適切に対応します | 何をするかが不明 | 問い合わせは受付当日中に一次回答し、3営業日以内に回答案を提出します |
| 定期的に報告します | 頻度と形式が不明 | 月1回の定例会で、進捗表と課題一覧を書面で報告します |
| 必要に応じて | 誰がいつ判断するかが不明 | 進捗が計画から1週間以上遅れた場合は、管理責任者が3日以内に対策案を提示します |
| 充実した体制で臨みます | 人数・役割・経験が不明 | 管理責任者1名、担当者3名の計4名を配置し、うち2名は同種業務の経験者です |
| 様々な手法を用いて | 手法の名前がない | 住民アンケートとグループインタビューの2つの手法を用います |
| 早期に | 期限がない | 契約後2か月以内に |
| 数多くの実績があります | 件数・規模・類似性が不明 | 過去5年間に自治体向け同種業務を12件受託しています(うち人口5万人規模の団体が4件) |
責任を避ける表現
| NG表現 | なぜ弱いか | 言い換え |
|---|---|---|
| 努めます | 結果を約束していない | 〜します(約束できる範囲に限定して言い切る) |
| 検討します | 結論が未定 | 着手後1か月以内に3案を比較し、発注者と協議のうえ決定します |
| 可能です/できます | 実施するとは書いていない | 実施します |
| 予定です | 確定していない印象 | 実施します(不確定な場合は「〇〇の条件が満たされた場合に実施します」と条件を明記する) |
| 協力して進めます | 責任者が不明 | 当社の管理責任者が工程全体の責任を持ち、発注者の確認が必要な事項は週1回まとめて依頼します |
| 状況を見ながら判断します | 判断基準がない | 利用率が目標の8割を下回った場合は、周知方法を見直す追加策を実施します |
誇張した表現
| NG表現 | なぜ弱いか | 言い換え |
|---|---|---|
| 業界トップクラスの | 根拠がなく疑念を招く | 〇〇の認定を取得しており、同種業務の受託件数は過去5年間で12件です |
| 必ず成功させます | 根拠のない断言 | 過去の同種業務で用いた手順を適用し、各段階で発注者と成果を確認しながら進めます |
| 万全のセキュリティ | 何をしているかが不明 | 作業端末の暗号化、アクセス権の限定、作業記録の保管の3点を実施します |
| 劇的に改善します | 程度が不明で検証できない | 窓口の平均待ち時間を、現状から〇割程度短縮することを目標とします |
| 最先端の技術で | 技術名がない | 〇〇(技術名)を用いて、紙の申請書の入力作業を自動化します |
| 唯一の/他社にはない | 確認できない比較 | 当社の特徴は、〇〇と〇〇を同じ担当者が一貫して行う点です |
よくある質問
Qすべてを言い切ると、守れなかったときのリスクが心配です。
言い切るのは自社が確実に実施できる範囲に限り、条件付きの内容は「〇〇の場合は〇〇します」と条件を明記してください。曖昧な表現でリスクを避けるより、条件を明示するほうが評価者からの信頼を得られます。
検索でよくある疑問
Q提案書で「検討します」と書くのはダメ?
「検討します」は結論が未定であることを示すため、評価者は何が実施されるのかを判断できず、点を付けにくくなります。「着手後1か月以内に3案を比較し、発注者と協議のうえ決定します」のように、期限・手順・決め方を示して言い換えます。「可能です」「予定です」も実施するとは書いていないため、約束できる範囲で「実施します」と言い切ります。
Q提案書で「業界トップクラス」「万全の体制」と書いてはいけない?
根拠のない誇張は、評価者に疑念を抱かせ、検証もできないため評価につながりにくい表現です。「業界トップクラス」は取得している認定や受託件数などの事実に、「万全のセキュリティ」は「作業端末の暗号化、アクセス権の限定、作業記録の保管の3点を実施します」のように具体策に置き換えます。「唯一の」「他社にはない」も確認できない比較のため避けます。
Q提案書の曖昧な表現はどう直す?
何を、いつまでに、どのくらい、誰がするかを数値や固有名詞で補います。例えば「定期的に報告します」は「月1回の定例会で、進捗表と課題一覧を書面で報告します」、「早期に」は「契約後2か月以内に」、「様々な手法を用いて」は手法の名前を挙げる、という直し方です。体制なら人数・役割・経験を書き、実績なら件数・規模・類似性を示します。
参考資料
法令・制度の記述は、次の一次資料・公的資料で確認しています。
- 総務省「地方公共団体の入札・契約制度の概要【指名競争入札について】」
- 総務省「総合評価方式」(地方自治法施行令第167条の10の2に基づく手続の概要資料)
- e-Gov法令検索「地方自治法施行令」(第167条、第167条の2、第167条の4、第167条の5、第167条の10、第167条の10の2、第167条の13)
- e-Gov法令検索「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(平成11年法律第42号)
- e-Gov法令検索「地方自治法」(昭和22年法律第67号。第234条)
- e-Gov法令検索「地方自治法施行規則」(昭和22年内務省令第29号。第12条の4)
- e-Gov法令検索「会計法」(昭和22年法律第35号。第29条の3、第29条の6)
- e-Gov法令検索「予算決算及び会計令」(昭和22年勅令第165号。第79条、第80条、第85条、第86条、第91条)
- 財務省「公共調達の適正化について」(平成18年8月25日財計第2017号、令和8年4月1日一部改正)
- 総務省行政評価局「契約における実質的な競争性の確保に関する調査(役務契約を中心として)結果報告書」(平成26年1月)
- 財務省 会計制度研究会「契約方式の多様化への対応について」(平成30年9月)
- 国土交通省「建設コンサルタント業務等におけるプロポーザル方式及び総合評価落札方式の運用ガイドライン」(平成27年11月、令和5年3月一部改定)
- 大阪市「大阪市公募型プロポーザル方式ガイドライン」(令和4年3月)
- 高松市「高松市プロポーザル方式実施ガイドライン」(令和7年4月1日施行)