自治体・国の公共調達で「選ばれる」ための実践ガイド

入札で選ばれる提案書の書き方― 評価者の採点表から逆算する実践ガイド

公共調達(自治体・国の機関)の公募型プロポーザルと総合評価落札方式で、選ばれる提案書・企画提案書・技術提案書の書き方とは?

執筆:村井宗明(元文部科学大臣政務官・AIエンジニア) | 全37ページ

結論:選ばれる提案書は「採点表への回答書」です

評価者は、評価基準の項目ごとに、限られた時間で点数を付けます。だから提案書は「良いことを書く」よりも、評価者が点を付けやすい形で書くことが勝敗を分けます。評価項目と同じ順番・名称の見出しで構成し、見出しの直後に結論を書き、数値・固有名詞・実績・手順で具体的に示し、「努めます」ではなく「〜します」で言い切る。このガイドは、そのすべてを評価者の採点表から逆算して解説します。

入札で選ばれる提案書の書き方の核心は、評価基準の項目と評価の着眼点から逆算し、評価者が採点の根拠をすぐ見つけられる提案書にすることです。公募型プロポーザルでは提案書が評価点のほぼすべてを決め、総合評価落札方式では技術点で価格差を逆転・維持する役割を担います。このガイドでは、自治体・官公庁の企画提案書や技術提案書づくりを、仕組みの理解から仕様書の読み方、骨格の設計、文章術、評価項目別の書き方、提出前チェック、落選後の改善とAI活用まで、7つのSTEPに分けて解説します。

このガイドの進み方

  1. STEP1仕組みを知る
  2. STEP2読む・選ぶ・調べる
  3. STEP3骨格を設計する
  4. STEP4伝わる文章で書く
  5. STEP5評価項目ごとに書く
  6. STEP6見せる・伝える・出す
  7. STEP7振り返る・AIで磨く
  8. 付録すぐ使える一覧

締切が迫っている方は、仕様書・評価基準の読み方、提案書の骨格の設計、提出前チェックを優先して読んでください。

STEP1仕組みを知る

STEP2読む・選ぶ・調べる

STEP3骨格を設計する

STEP4伝わる文章で書く

STEP5評価項目ごとに書く

STEP6見せる・伝える・出す

STEP7振り返る・AIで磨く

付録すぐ使える一覧

入札・プロポーザルの「知りたいこと」から探す

よくある質問

Q入札やプロポーザルで選ばれる提案書とは、どんな提案書ですか。

A

評価基準の項目と評価の着眼点に沿って構成され、評価者が採点の根拠をすぐに見つけられる提案書です。提案書は作品ではなく採点表への回答書として、評価項目と同じ順番・名称の見出しで、結論を先に、数値・固有名詞・手順で具体的に書くことが選ばれる条件です。

Q公募型プロポーザルと総合評価落札方式は何が違いますか。

A

総合評価落札方式は入札の一種で、技術と価格を総合的に評価して(加算方式なら技術点と価格点の合計で)落札者が決まり、そのまま契約につながります。公募型プロポーザルは随意契約の相手方を選ぶ手続きで、提案内容で契約候補者を選び、その後に仕様や契約内容を協議して契約します。価格を評価しない、または配点を小さくする設計が多いのも特徴です。

Q提案書を書き始める前に何をすればよいですか。

A

募集要項・仕様書・評価基準を横に並べて読み、必須要件と任意要件を要件一覧表に分解します。次に、配点から重点を見抜き、評価項目と一致した目次(骨子)と、一言で言える勝ちテーマ(提案コンセプト)を決めてから本文を書きます。

Q「努めます」「検討します」はなぜ評価されにくいのですか。

A

何をするかを約束していないため、評価者が採点の根拠にできないからです。約束できる範囲は「〜します」で言い切り、言い切れない場合は「〇〇の場合は〜します」のように条件と判断基準を示して書きます。

Q生成AIを提案書作成に使ってもよいですか。

A

仕様書の要件一覧化、評価基準別の骨子案、推敲、評価者視点の模擬採点にはAIが有効です。ただし実績・数値・資格・体制をAIに創作させてはいけません。守秘情報の入力ルールを決め、出力は必ず事実確認してから使います。

Q入札の提案書は何ページくらいが適切ですか?

A

分量そのものは評価されないため、ページ上限いっぱいまで書く必要はありません。様式やページ上限の違反は失格につながる場合があるので規定は必ず守り、その範囲で評価項目の配点に比例してページを配分します。「その項目の配点÷技術点の合計×本文に使えるページ数」で目安を出し、根拠がすぐ見つかる密度と構成を優先してください。

Q仕様書のとおりに書けば提案書で点は取れますか?

A

仕様書の要求水準を満たしている記述は「標準」と評価される設計が多く、仕様書をなぞっただけでは標準止まりになりやすいです。「優れている」以上を取るには、要求水準を上回る具体策とその根拠が必要です。たとえば月1回の定例会に加え、導入直前の期間は週1回の短時間ミーティングを設けるといった、回数・期間・手順まで示した提案が上位評価につながります。

Q提案書の章立てはどの順番で作ればよいですか?

A

評価基準に並んでいる評価項目の順番と名称のまま見出しを作るのが基本です。自社の説明しやすい順(会社概要→製品紹介→導入事例など)で並べると、評価者は採点のたびにページを行き来することになり、見つからなかった内容は書いてあっても点になりません。冒頭に評価項目と記載ページの対応表を置くと、拾い読みでも採点の根拠が見つかります。

Q企画提案書と技術提案書で書き方は変わりますか?

A

公募型プロポーザルの企画提案書は評価点のほぼすべてを決める主戦場で、総合評価落札方式の技術提案書は技術点を稼いで価格差を逆転・維持する役割を担います。役割は異なりますが、どちらも評価基準から章立てを決め、見出しの直後に結論を置き、着眼点の言葉を使って数値・手順・実績で根拠を示すという書き方の原則は共通です。

Q初めてプロポーザルに参加する場合、どこから学べばよいですか?

A

初めての方は、入札方式の違いと審査の流れを解説したSTEP1から順に読むことをおすすめします。締切が迫っている場合は、仕様書・募集要項・評価基準の読み方、評価項目から逆算する提案書の構成、提出前チェックと失格回避の3つを優先してください。各ページは単独でも読めるように書いているので、必要な箇所から参照できます。