第2章お金はどこから来るのか ― 歳入の実態
地方交付税の仕組みをわかりやすく|自治体の歳入・地方債・基金
自治体の歳入を令和7年度決算(速報)の最新データでわかりやすく解説。一般財源と特定財源、地方税の見積もり、地方交付税の基準財政需要額・基準財政収入額、国庫支出金、地方債と臨時財政対策債、財政調整基金、ふるさと納税の仕組みがわかります。
この章の要点
- 2-1歳入は使い道の自由な一般財源と、使い道の決まった特定財源に分かれ、令和7年度(2025年度)市町村決算(速報)では歳入の51.3%が一般財源です。
- 2-2地方税は市町村の歳入の約3割(令和7年度決算(速報)で30.4%)で、固定資産税は安定、個人住民税は前年所得で決まり、法人住民税は景気で大きく動くため、過大に見積もらないことが基本です。
- 2-3普通交付税は基準財政需要額と基準財政収入額(標準税収の75%等)の差を基本に交付され(地方交付税法第10条)、留保財源25%が税源を育てる意欲を支えています。令和8年度の不交付団体は87団体(東京都と86市町村)です。
- 2-4国庫支出金は国庫負担金・国庫委託金・国庫補助金に分かれ、補助事業は一般財源の負担が小さいため査定で優先されやすい一方、超過負担や補助終了後の負担に注意が必要です。
- 2-5地方債は建設事業費など地方財政法第5条で認められた経費に限られ、臨時財政対策債の新規発行は令和7・8年度の地方財政計画でゼロとなりましたが、過去の残高(市町村で約15.2兆円)の返済は続きます。
- 2-6基金は財政調整基金・減債基金・特定目的基金の3種類で、当初予算で財政調整基金の取り崩しに頼る状態が続くことは構造的な赤字を意味します。
- 2-7ふるさと納税は受入額が増える一方、住民税の流出と経費を伴い、使用料・手数料は条例で定めて数年ごとに見直す自治体が多くあります。
2-1一般財源と特定財源 ― 使い道が自由なお金と決まっているお金#
Q一般財源とは何か?
一般財源とは、使い道が決まっていない歳入のことで、使い道が特定の事業に決まっている歳入を特定財源と呼びます。自治体の歳入はこの2つに大きく分けられ、予算編成で財政課が最も気にするのは、自由に配分できる一般財源をいくら確保できるかです。
一般財源の代表は次のとおりです。
- 地方税
- 地方譲与税
- 地方特例交付金
- 地方交付税
- 地方消費税交付金などの各種交付金
これらは、どの事業に使っても構わないお金です。国は、地方交付税の交付に当たって条件をつけたり、使途を制限したりしてはなりません(地方交付税法第3条第2項)。このため、地方交付税は地方税と同じように自由に使える財源とされています。
特定財源の代表は次のとおりです。
- 国庫支出金(国からの負担金・補助金・委託金)
- 都道府県支出金
- 地方債(借入金)
- 使用料・手数料
- 特定目的基金からの繰入金
例えば保育所の運営費に充てる国の負担金は、保育以外に使えません。地方債も、原則として建設事業など法律で認められた経費にしか充てられません。
総務省「令和7年度市町村普通会計決算の概要(速報)」(令和8年9月29日公表)によると、令和7年度(2025年度)の全国の市町村(特別区を含む)の歳入総額は約74.5兆円、そのうち一般財源は約38.2兆円で、構成比は51.3%でした。市町村の歳入のおよそ半分が使い道の自由なお金で、残り半分は使い道が決まったお金という構造です。
この区別が予算づくりで重要なのは、事業の「本当のコスト」が一般財源の額で測られるからです。例えば総事業費1億円の事業でも、国庫補助金が5,000万円、地方債が3,000万円入れば、自治体が自由な財源から出す一般財源は2,000万円で済みます。財政課の査定では、事業費の総額だけでなく「一般財源をいくら使うか」が厳しく問われます。
この記事の架空の自治体であるみらい市(人口約5万人の一般市、一般会計当初予算約230億円)の設定では、市税・地方交付税・各種交付金などの一般財源が約120億円、国庫支出金・県支出金・市債・繰入金などの特定財源が約110億円です。一般財源の割合が約52%で、全国の市町村平均に近い構成です。
2-2地方税 ― 住民税・固定資産税と税収見積もりの難しさ#
Q税収はどうやって見積もるのか?
地方税は、自治体が自ら住民や企業に課税して集める自主財源で、市町村の歳入の約3割を占める最も基本的な一般財源です。予算編成では、税務課が翌年度の税収を見積もり、財政課がその数字を歳入予算の土台にします。
総務省「令和7年度市町村普通会計決算の概要(速報)」(令和8年9月29日公表)によると、令和7年度(2025年度)の市町村の地方税収入は約22.6兆円で、歳入総額に占める割合は30.4%でした。税目別の内訳は次のとおりです(固定資産税と法人市町村民税は、東京都が特別区の区域で課税する分を含みます)。
- 固定資産税:約10.3兆円
- 個人市町村民税:約9.4兆円
- 法人市町村民税:約2.4兆円
固定資産税と個人住民税の2つで、市町村税の大部分を占めています。なお、令和7年度の個人市町村民税は前年度比12.6%増でした。令和6年度(2024年度)に実施された定額減税が終了した影響とみられ、国の制度変更が税収を大きく動かすことがわかります。
税目によって見積もりの難しさは大きく異なります。固定資産税は土地・家屋・償却資産に課税する税です。評価額は原則として3年ごとの評価替え(直近は令和6年度、次回は令和9年度(2027年度))で見直されるため、比較的安定しています。ただし、家屋の新築・取り壊しや、企業の設備投資による償却資産の増減は毎年変動します。
個人住民税は前年の所得に課税するため、翌年度の税収は「今年の所得」でおおむね決まります。予算編成をする秋の時点では今年の所得はまだ確定していません。そこで税務課は、次のような材料から推計します。
- 当年度の課税実績
- 国の経済見通し
- 地域の給与水準の動向
- 納税義務者数の推移
国の税制改正(控除の見直しや定額減税など)の影響も、12月の税制改正大綱を受けて織り込む必要があります。
最も読みにくいのは法人住民税です。企業の業績に連動するため、景気変動や特定の大企業の決算によって大きく増減します。法人税割の多い自治体ほど、税収見積もりの誤差が予算全体を揺さぶります。
税収見積もりで多くの自治体が意識するのは、「過大に見積もらない」ことです。税収を多めに見込んで歳出を組むと、年度途中で歳入不足となり、基金の取り崩しや事業の執行停止が必要になります。一方で過小に見積もりすぎると、本来できた事業を削ることになります。この記事の架空の自治体であるみらい市の設定では、市税は約72億円で、税務課の推計値をもとに財政課が12月下旬の地方財政対策の方向性を確認し、1月の査定段階で最終的な税収額を固めます。なお、普通交付税の交付団体では、地方税の増収分の75%が基準財政収入額の増加を通じて普通交付税の減少につながるため、税収は地方交付税の見積もりと一体で考える必要があります。
2-3地方交付税 ― 基準財政需要額と基準財政収入額の仕組み#
Q地方交付税はどう計算されるのか?/不交付団体とは?
地方交付税とは、どの地域に住んでいても一定水準の行政サービスを受けられるよう、国税の一定割合を財源として、自治体間の財源の偏りを調整する制度です。普通交付税は、自治体ごとに「標準的な行政に必要な額(基準財政需要額)」から「標準的な税収等の額(基準財政収入額)」を差し引いた財源不足額を基本に交付されます(地方交付税法第10条第1項・第2項)。
地方交付税の原資は、所得税・法人税の収入額のそれぞれ33.1%、酒税の収入額の50%、消費税の収入額の19.5%、地方法人税の収入額の全額です(地方交付税法第6条第1項)。地方交付税は普通交付税と特別交付税に分かれ、総額の94%が普通交付税、6%が災害など特別の事情に応じて配分される特別交付税です(同法第6条の2)。総務省「令和8年度地方財政対策のポイント」(令和7年12月26日)によると、令和8年度(2026年度)の地方交付税の総額は20.2兆円(前年度比1.2兆円増)が確保されました。
基準財政需要額は、測定単位の数値を補正し、測定単位ごとの単位費用を乗じて得た額を合算して算定します(地方交付税法第11条)。計算式は「単位費用×測定単位×補正係数」です。例えば消防費なら人口、小学校費なら児童数や学級数が測定単位になり、寒冷地や人口密度などの条件の違いを補正係数で反映します。過去に発行した臨時財政対策債(臨財債)の元利償還金の全額や、交付税措置のある地方債の元利償還金の一定割合も、基準財政需要額に算入されます。
基準財政収入額は、標準的な地方税収入の見込額に「基準税率」を掛けた額に、地方譲与税などを加えて算定します(地方交付税法第14条第1項)。基準税率は、道府県税・市町村税とも標準税率の75%です(同条第2項)。地方税収の残り25%は「留保財源」と呼ばれ、算定から外されます。留保財源があるため、自治体が企業誘致などで税収を増やすと、その25%分は手元に残り、税源を育てる意欲が失われないようになっています。逆に言えば、交付団体では税収が1億円増えても普通交付税が約7,500万円減るため、一般財源全体の増加は約2,500万円にとどまります。
基準財政収入額が基準財政需要額を上回る自治体は、普通交付税が交付されない「不交付団体」になります。総務省「令和8年度普通交付税の算定結果等」(令和8年7月24日決定)によると、令和8年度(2026年度)の不交付団体は都道府県では東京都のみ、市町村では86団体(合計87団体)でした。不交付団体の数は令和6年度83団体、令和7年度85団体、令和8年度87団体と増えています。大多数の自治体は普通交付税の交付団体です。
普通交付税の額は、総務大臣が遅くとも毎年8月31日までに決定します(地方交付税法第10条第3項)。実際には例年7月下旬に決定・公表され、令和8年度分は令和8年7月24日に決定されました。この記事の架空の自治体であるみらい市(普通交付税の交付団体、地方交付税約33億円)の設定では、財政課は予算編成時に前年度の算定結果と翌年度の地方財政計画の伸び率から交付額を推計し、7月の本算定の結果と見比べて年度途中の補正予算で調整します。
2-4国庫支出金・都道府県支出金 ― 補助金とセットの事業#
Q補助金がある事業はなぜ優先されやすいのか?
国庫支出金とは、国が特定の事業のために自治体に交付するお金で、使い道が決まった特定財源の代表です。都道府県支出金は、都道府県が市町村に交付するもので、国の補助に都道府県の負担分が上乗せされる形のものが多くあります。
国庫支出金は、性格によって大きく3つに分かれます。
- 国庫負担金:生活保護や義務教育のように、法令に基づき自治体が実施しなければならない事務で、国と自治体の双方に利害があるものについて、国が経費の全部または一部を負担するもの(地方財政法第10条など)。生活保護費は国が4分の3を負担します(生活保護法第75条)。
- 国庫委託金:国政選挙や国の統計調査など、本来国が行う事務を自治体が代わって行う経費。
- 国庫補助金:国がその施策を行うため特別の必要があると認めるときなどに限り、自治体に交付できるもの(地方財政法第16条)。
総務省「令和7年度市町村普通会計決算の概要(速報)」(令和8年9月29日公表)によると、令和7年度(2025年度)の市町村の国庫支出金は約14.0兆円で歳入総額の18.7%、都道府県支出金は約5.4兆円で7.2%でした。地方税に次ぐ大きな財源です。令和7年度は、児童手当制度の拡充により児童手当等交付金が約2.0兆円(前年度比41.4%増)に増えた一方、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金は前年度の約1.8兆円から約1.0兆円に減りました。国の制度改正や経済対策によって、年度ごとに大きく変動するのが国庫支出金の特徴です。
補助金がある事業が予算査定で優先されやすいのは、一般財源(使い道が自由な財源)の負担が小さくなるからです。補助率2分の1の事業なら、自治体は事業費の半分の財源で事業を実施できます。さらに、補助事業の地方負担分(「補助裏」と呼ばれます)には、地方債の充当や地方交付税による措置が用意されている場合も多く、実質的な一般財源の負担はさらに小さくなります。
ただし、補助金には注意点もあります。国が定める補助基準額が実際の単価より低く、自治体が差額を自前で負担する「超過負担」が生じることがあります。また、補助の期間が終わると、事業を自前の財源で続けるかどうかの判断を迫られ、後年度の一般財源負担として予算を圧迫することもあります。この記事の架空の自治体であるみらい市の設定では、補助事業の要求書に「補助終了後の財源の見通し」を書く欄を設けて、財政課が後年度負担を確認しています。
2-5地方債と臨時財政対策債 ― 「借金」の正しい理解#
Q自治体はなぜ借金をするのか?/臨財債とは?
地方債とは、自治体が1会計年度を超えて返済する借入金です。家計の借金と違い、主に道路や学校など長く使う施設の建設費を、施設を利用する将来の世代にも公平に負担してもらうための仕組みとして位置付けられています。
自治体の歳出は、地方債以外の歳入を財源としなければならないのが原則です(地方財政法第5条本文)。例外として地方債を財源にできるのは、次の経費です(同条ただし書)。
- 公営企業(交通、ガス、水道など)に要する経費
- 出資金・貸付金
- 地方債の借換えに要する経費
- 災害応急事業費・災害復旧事業費・災害救助事業費
- 学校、保育所、消防施設、道路、河川などの公共施設・公用施設の建設事業費と、公共用・公用の土地の購入費
これを「建設公債主義」と呼びます。職員の給与や福祉の給付といった毎年の経費に、通常の地方債を充てることはできません。地方債には、元利償還金の一部が後年度の普通交付税の基準財政需要額に算入される「交付税措置」のあるもの(緊急防災・減災事業債、過疎対策事業債など)があり、予算担当者は事業ごとに有利な地方債を選びます。
例外が臨時財政対策債(臨財債)です。臨時財政対策債は、国の地方交付税の原資が不足する分を自治体が代わりに借り入れて補う地方債で、平成13年度(2001年度)に創設されました。地方財政法第5条の特例(直近では同法第33条の5の2、令和5年度から令和7年度までの特例)として発行され、使い道の制限はなく一般財源として扱われます。元利償還金は、全額が後年度の基準財政需要額に算入されます。
臨時財政対策債の新規発行は、近年ゼロになりました。総務省「令和7年度地方財政対策のポイント」(令和6年12月27日)によると、令和7年度(2025年度)は平成13年度の制度創設以来初めて新規発行額がゼロとなりました。総務省「令和8年度地方財政対策のポイント」(令和7年12月26日)によると、令和8年度(2026年度)も引き続き新規発行額はゼロで、過去に発行した分の償還に備える「臨時財政対策債償還基金費(仮称)」0.8兆円が創設されました。決算で見ても、総務省「令和7年度市町村普通会計決算の概要(速報)」(令和8年9月29日公表)によると、市町村の臨時財政対策債の発行額は令和6年度(2024年度)の約2,003億円から令和7年度はゼロ(皆減)になりました。
ただし、過去の発行分の残高はまだ大きく残っています。同じ速報によると、令和7年度末の市町村の地方債現在高は約52.9兆円、臨時財政対策債を除いた額は約37.7兆円で、差額の約15.2兆円が臨時財政対策債です。その返済は今後も公債費として続きます。
地方債は「借金だから悪い」と単純に判断するものではありません。大切なのは、返済額が将来の財政を圧迫しない水準かどうかです。その目安となるのが、実質公債費比率や将来負担比率などの健全化判断比率です。この記事の架空の自治体であるみらい市の設定では、市債の新規発行額を「その年度の元金償還額の範囲内」に抑えることを中期財政計画の目標にしています。地方債の発行には協議や届出などの手続きもあるため、所属自治体の財政課の運用で確認してください。
2-6基金 ― 財政調整基金・減債基金・特定目的基金の役割#
Q財政調整基金を取り崩すとはどういうことか?
基金とは、自治体が特定の目的のために財産を維持し、資金を積み立て、または定額の資金を運用するために、条例で設ける貯金のことです(地方自治法第241条第1項)。予算編成では、歳入の不足を埋めるために基金を取り崩して一般会計に繰り入れることがよく行われ、予算書では「繰入金」として歳入に計上されます。
基金は大きく3種類に分かれます。
- 財政調整基金:年度間の財源の不均衡を調整するための基金。税収が落ち込んだ年や災害が起きた年に取り崩して使います。
- 減債基金:地方債の返済に備えるための基金。
- 特定目的基金:公共施設の建て替え、ふるさとづくり、福祉など、特定の目的のために積み立てる基金。
決算で剰余金が出た場合、その2分の1を下らない額を、剰余金が出た年度の翌々年度までに積み立てるか、繰上償還の財源に充てなければなりません(地方財政法第7条第1項)。多くの自治体では、この規定に基づいて決算剰余金の半分以上を財政調整基金に積み立てています。
総務省「令和7年度市町村普通会計決算の概要(速報)」(令和8年9月29日公表)によると、令和7年度(2025年度)末の市町村の積立金現在高は約18.8兆円でした。内訳は財政調整基金が約6.7兆円、減債基金が約1.7兆円、その他特定目的基金が約10.4兆円です。
「財政調整基金を取り崩す」とは、当初予算の段階で歳出に見合う歳入が足りないとき、その不足分を貯金から補うことを意味します。この記事の架空の自治体であるみらい市の設定では、財政調整基金の残高は約25億円で、毎年度の当初予算編成で5〜8億円の取り崩しを計画しています。実際には、年度途中の税収増や事業費の不用額によって、決算時点では取り崩し額が計画より小さくなったり、剰余金の積み戻しで残高がほぼ維持されたりする例が少なくありません。
それでも、当初予算で基金頼みの状態が続くことは、財政の構造的な赤字を意味します。標準財政規模(標準的な状態で通常収入される一般財源の規模)の1割程度を財政調整基金の目安とする自治体もあります。ただし法定の基準はなく、適正な残高は自治体ごとに判断されています。所属自治体の中期財政見通しや財政運営方針で確認してください。
2-7ふるさと納税・使用料・手数料などその他の収入#
Qふるさと納税は予算にどう影響するのか?
ふるさと納税・使用料・手数料などのその他の収入とは、地方税・地方交付税・国庫支出金以外の歳入で、寄附金、施設の使用料、証明書の手数料、財産収入、諸収入などを指します。一つひとつは小さくても、予算編成では見落とせない財源です。
ふるさと納税は、個人が自治体に寄附をすると、2,000円を超える部分が上限の範囲内で所得税と住民税から控除される制度です。総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」(令和8年7月31日公表)によると、令和7年度(2025年度)の受入額は全国で約1兆3,314億円、受入件数は約5,963万件で、いずれも過去最高でした。寄附金は予算書の「寄附金」の款に計上されます。ただし、返礼品の調達費(寄附額の3割以下とする基準があります)やポータルサイトの手数料などの経費もかかるため、実際に自由に使える額は受入額より小さくなります。令和7年10月からは、ポータルサイトなどによるポイント付与を伴う寄附の募集が禁止されました。
ふるさと納税には、住民が他の自治体に寄附した分だけ、自分の自治体の住民税が減る「流出」の側面もあります。普通交付税の交付団体では、住民税の減収額の75%が基準財政収入額の減少を通じて普通交付税で補われますが、不交付団体には補塡がありません。予算編成では、寄附の受入見込みと住民税の控除額の両方を見積もる必要があります。
使用料は、公民館や体育館、公営住宅などの公の施設の利用や行政財産の使用の対価として徴収できるもので(地方自治法第225条)、手数料は、住民票の写しや各種証明書の発行など特定の者のためにする事務の対価として徴収できるものです(同法第227条)。使用料・手数料に関する事項は条例で定めなければなりません(同法第228条第1項)。物価や人件費の上昇に合わせた見直しは住民負担の増加を伴うため、多くの自治体では数年ごとに受益者負担の考え方を整理して改定しています。
このほか、土地の売払収入や基金の運用益などの財産収入、前年度からの繰越金、貸付金の返済金などの諸収入があります。この記事の架空の自治体であるみらい市の設定では、ふるさと納税の受入額を年間約5億円と見込み、経費を差し引いた額を子育て支援などの基金に積み立てて、翌年度以降の事業に充てています。
参考資料・出典
- 総務省「令和7年度市町村普通会計決算の概要(速報)」(令和8年9月29日):https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei07_02000458.html (本文PDF:https://www.soumu.go.jp/main_content/001093338.pdf)
- 総務省自治財政局「令和8年度地方財政対策のポイント」(令和7年12月26日):https://www.soumu.go.jp/main_content/001048684.pdf
- 総務省自治財政局「令和7年度地方財政対策のポイント」(令和6年12月27日):https://www.soumu.go.jp/main_content/000984941.pdf
- 総務省「令和8年度普通交付税の算定結果等」(令和8年7月24日。不交付団体数の推移(令和6〜8年度)を含む):https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei04_02000188.html (本文PDF:https://www.soumu.go.jp/main_content/001083397.pdf)
- 総務省「地方交付税」(地方財政制度):https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/kouhu.html
- 総務省自治税務局市町村税課「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和8年度実施)」(令和8年7月31日):https://www.soumu.go.jp/main_content/001084951.pdf
- 地方財政法(昭和23年法律第109号)第5条・第7条・第10条・第16条・第33条の5の2(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000109
- 地方交付税法(昭和25年法律第211号)第3条・第6条・第6条の2・第10条・第11条・第14条(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000211
- 地方自治法(昭和22年法律第67号)第225条・第227条・第228条・第241条(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000067
- 生活保護法(昭和25年法律第144号)第75条(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000144
- LawPlayer「地方交付税法 第14条」(e-Gov準拠の現行条文。条ごとのページで他の条も確認できます):https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000211/14
法令はe-Gov法令検索の現行条文、統計は総務省等の公表資料(基準時点は本文に記載)によります。