行政AI・自治体AI活用セミナーセミナー議事録|「ヤマトくん」Ver2・PRO版 × 地域未来AX戦略
生成AIを「文章作成の道具」から、自治体業務と地域の未来を動かす基盤へ。イーストクラウド(EastCloud)が紹介した行政AI・自治体AIの進化、活用事例、導入のポイントを動画とともにお届けします。
自治体AI「ヤマトくん」の利用はこちら自治体向け生成AI「ヤマトくん」Ver2・PRO版の新機能、自治体AXの実践例、そして地域の強みを成長へつなぐ「地域未来AX戦略」を紹介しました。本ページでは、当日の説明を発言者ごとの文字起こし・議事録として詳しく掲載します。
行政AI・自治体AIセミナー動画
当日のAIセミナーを動画でご覧いただけます。自治体向け生成AI、行政AIの導入、庁内DXや全庁展開を検討されている方は、ぜひご視聴ください。
EDITED TRANSCRIPT
自治体AI活用セミナー 議事録・文字起こし
当日の発言を、話の順序と説明のニュアンスを残しながら読みやすく整えた議事録です。誤変換、重複、言いよどみ、不要な相づちを整理しています。
開会
本日は、自治体AI「ヤマトくん」Ver2・PRO版、そして地域未来AX戦略の説明会にご参加いただき、ありがとうございます。
自治体AIについては、それぞれの自治体独自の資料を活用できないか、というお問い合わせも多くいただいております。本日は、その点も含めてご案内します。
前半はEastCloud株式会社の新家さんから、ヤマトくんVer2とPRO版、自治体AXについてご説明いただきます。その後、私どもから「地域未来AX戦略」におけるAI活用についてご説明します。それでは新家さん、よろしくお願いします。
EastCloud株式会社の紹介
ただいまご紹介にあずかりました、EastCloud株式会社の新家と申します。本日はよろしくお願いいたします。限られた時間ですので、早速、自治体AI「ヤマトくん」をご紹介します。その前に、弊社について2~3分ほどご説明します。
EastCloud株式会社、イーストクラウドは、国産クラウドの総合支援サービスを中心に事業を展開しています。ガバメントクラウドに認定された「さくらのクラウド」の構築や利用促進を、中央省庁や自治体向けに行っています。
取り組みの一環として、「マサルくん」が「ヤマトくん」へ移行した頃から、その基盤を国産クラウド上に構築する形で、日本DX地域創生応援団の活動に参画しています。
農林水産省をはじめとする中央省庁や研究機関へのサービス提供実績があり、国立環境研究所とはAIに関する知見を生かした取り組みも行っています。
自治体AI「ヤマトくん」Ver2とPRO版
今回の主なご案内は、「自治体AI ヤマトくん」がVer2へ進化したこと、そして新たにPRO版の提供を開始することです。
多くの自治体で生成AIの導入や実証実験が進んでいます。一方で、文章の要約や作成には使えるものの、複雑な実務には組み込みにくいと感じている方も多いのではないでしょうか。
ヤマトくんは、単なる生成AIから、自治体業務そのものを変革するAX、AIトランスフォーメーションのプラットフォームへ進化しています。今回発表するヤマトくんには、大きく二つの柱があります。
一つ目がVer2です。全国共通の自治体業務に強いAIで、行政に関する知識をあらかじめ備えているため、すぐに業務へ活用できます。二つ目がPRO版です。自治体独自の資料を安全に読み込み、組織、部局、権限などを管理しながら、全庁で運用できるAI基盤です。
本日は、Ver1からVer2へ何が進化したのか、PRO版ではどのような機能が追加されたのか、自治体の生成AI活用がどう変わるのか、そして、どのような手順で導入すればよいのか。この四点を中心にご説明します。
Ver1からVer2、PRO版への進化
ヤマトくんはVer1の時点で、総務、企画、財政、福祉、防災など、各課・各業務に対応する専門AIエージェントを実装していました。Ver2で初めて部局別AIを作ったということではありません。
Ver2では、Ver1で構築した専門AIの考え方をさらに高度化し、豊富な行政知識と業務プロセス支援を加えています。PRO版では、そこに自治体独自のデータと、全庁展開に不可欠な組織管理機能を追加しました。
約1,600万文字の行政知識を標準装備
Ver2の大きな進化は、行政知識を標準装備したことです。現在、24分類・約200業務の自治体業務機能に対応しています。その基盤となるのが、国が公表している政策、白書、行政資料など、約1,600万文字の行政関連情報を活用したRAGです。
RAGとは検索拡張生成のことで、あらかじめ登録した資料を検索し、その内容を根拠にAIが回答する仕組みです。
一般的な生成AIでは、インターネット上の情報を広く検索することで、かえって回答精度が下がる場合があります。また、機密情報を外部の検索や学習へ安易に利用することはできません。
ヤマトくんは行政に関する前提知識をあらかじめ備えているため、利用者が毎回「私は自治体職員です」「この制度の前提はこうです」と細かく説明する必要がありません。制度や行政実務を踏まえた回答を最初から得やすい点が特徴です。
Ver1と比べ、参照する行政資料の量は約3倍以上になり、より詳しく精度の高い回答ができるようになっています。
無料版の操作方法
ヤマトくんVer2の無料版は、従来と同じ利用画面から使用できます。大きく変わったのは画面構成です。以前は各部局向けのプロンプトやAIエージェントが縦に並んでいましたが、Ver2では部署や用途を選びやすいタブ形式になりました。
基本的な使い方は従来と同じです。利用したい業務を選び、自治体名や必要な情報を入力して生成を実行します。
自治体AXのデモ
Ver2で特に大きく変わったのがAXの機能です。AXはAIトランスフォーメーションの略です。特定の業務でAIを補助的に使うだけでなく、業務プロセス全体をAIによって変革・自動化する考え方です。
日本DX地域創生応援団では、住民基本台帳、生活保護、防災・復旧などの自治体AXを、デモンストレーションとして公開しています。
住民基本台帳AXの例
たとえば、住民が転入手続きのために来庁する場合、従来は窓口へ来てから必要書類を確認し、不足があれば再来庁しなければならないことがありました。
住民基本台帳AXでは、来庁前に、住み始めた日、来庁予定日、本人か代理人か、所持している本人確認書類、転出証明書の有無、一緒に手続きする家族の人数、子どもの年齢や世帯状況、健康保険の種類、原動機付自転車の所有状況、来庁希望時間などを入力できます。
「持ち物と手続きを確認する」ボタンを押すと、本人確認書類、転出証明書、マイナンバーカード、母子健康手帳、標識交付証明書とナンバープレート、必要に応じた印鑑などが表示されます。児童手当の認定請求、就学・転校に関する手続きなど、関連する手続きも案内されます。
結果は印刷できます。また、自治体の内部システムと連携すれば、引き継ぎコードなどを発行し、「どのような手続きを希望する人が来庁するか」を職員側で事前に確認する仕組みにも発展させられます。
このように、AIが住民と職員の間をつなぐハブとなり、業務全体を円滑に進める仕組みが自治体AXです。生活保護AXでは、ケースワークや月次・年次業務の管理などを支援します。ヤマトくんVer2から利用できますので、ぜひ実際に触ってみてください。
自治体サイトのセキュリティ診断
自治体サイトのURLを入力するだけで、セキュリティスコアと改善策を確認できる簡易診断機能も用意しています。近年はインターネット上のトラブルやサイバーセキュリティ上のリスクが高まっています。こちらもヤマトくんから利用できます。
自治体AI「ヤマトくん」PRO版
PRO版は、Ver2を自治体ごとの本番運用に対応させたものです。その中心となるのが「マイRAG」機能です。
全国共通の行政知識に加え、自治体独自の例規・要綱、総合計画、過去の議会答弁、窓口対応マニュアル、庁内の非公開資料などを登録できます。従来はサービス提供事業者がRAGを構築することが一般的でしたが、PRO版では自治体職員が自ら資料を登録し、RAGを作成できます。
作成したRAGは、個人、部局、自治体全体の単位で共有範囲を設定できます。たとえば総務部だけで利用する資料を子育て支援課には表示しない、といった設定が可能です。
管理者は、誰がどのAIを利用し、どのようなプロンプトを入力したかを確認できます。一般職員、部局管理者、全体管理者の三段階の権限を備え、職員IDの追加・停止、部局別・全庁共通プロンプトの配布、ログイン履歴、部局別・AIモデル別の利用状況、監査ログなどをダッシュボードで管理できます。
ファイル、RAGデータ、ユーザー情報などは、国産の「さくらのクラウド」上で安全に管理します。これはEastCloud株式会社の強みでもあります。将来的にはAIの推論処理も含め、国内で完結する環境の整備を進めていきます。
PRO版を開発した理由
自治体からは、「自治体独自のデータを外部漏えいの心配なく安全に利用できるか」「誰がどの程度AIを使っているのか把握できるか」「ガバナンス上、問題のある使い方をしていないか確認できるか」「庁内利用に必要な管理要件へ対応できるか」といった相談を多くいただいていました。
こうした要望に応えるため、自治体独自のRAGと組織管理機能を備えたPRO版を開発しました。
説明会時点の料金
PRO版の料金は、25名まで月額8万円、26名以上は1名追加ごとに月額3,000円です。標準AIモデル、マイRAG、個人・部局・自治体共有RAG、職員・部局・権限管理、監査ログなどが含まれます。
高性能AIモデルや高品質な画像生成などは従量課金となる場合があります。また、RAG構築代行、導入・定着支援、自治体独自のAXワークフロー開発などは別料金です。実証実験を含め、希望に応じて日本DX地域創生応援団が伴走支援します。
Ver2とPRO版の違い
| 項目 | Ver2(無料版) | PRO版 |
|---|---|---|
| 位置づけ | 全国共通の行政AI | 自治体専用の全庁AI基盤 |
| 行政知識 | 約1,600万文字の行政RAG | Ver2の行政RAGを利用 |
| 自治体独自資料 | 原則として未対応 | マイRAGへ登録可能 |
| 共有範囲 | 共通機能を利用 | 個人・部局・自治体全体で設定 |
| 組織管理 | 個人利用中心 | 職員、部局、権限を管理 |
| 利用状況 | 個人利用中心 | ダッシュボードと監査ログで確認 |
推奨する導入手順
最初から全庁でPRO版を導入する必要はありません。まずVer2で行政AIの実力を試し、一部の職員や部局でPRO版を少人数導入します。次に例規やマニュアルをマイRAGへ登録し、効果を実証・検証します。利用状況や効果を確認しながら対象部局を広げ、最終的に全庁展開する流れを推奨しています。
ヤマトくんは、前身の「マサルくん」から長期間にわたり提供してきました。Ver1の「各課にAIを」、Ver2の「行政RAGとAXによる業務AI」、PRO版の「自治体独自RAGと庁内管理機能」へと進化しています。
自治体職員が生成AIを試す段階から、自治体全体で安全かつ本格的に業務へ活用する段階へ進めるためのプラットフォームを目指しています。
質疑応答
質問1:源内AIとヤマトくんの違いは何ですか。
回答:基本的な性能や機能に大きな違いはありません。源内AIは、デジタル庁が公開している商用利用可能なソースコードを基盤として、ヤマトくんの機能を実装したものです。主な違いは基盤や画面デザインです。
質問2:本日の説明資料はもらえますか。
回答:説明会後のアンケートで「資料を希望する」と回答いただければ、後日共有します。
質問3:文字起こし機能は改善されていますか。リアルタイム文字起こしや話者識別はできますか。
回答:文字起こし機能はVer1から大きな性能差はありません。リアルタイム文字起こしや話者の自動識別も、PRO版の標準機能としては対応していません。ただし、カスタマイズが必要な場合は、別途見積もりで機能追加を検討できます。
質問4:伴走支援の料金はいくらですか。
回答:支援内容によるため基本的には要相談です。説明会時点では月額10万円以上が目安です。RAGの構築代行、文書整理、職員研修など、支援範囲によって料金は変わります。
質問5:LGWAN環境で利用できますか。
回答:現時点ではLGWAN環境での提供は予定していません。ただし、要望が多い場合は将来的なLGWAN対応を検討します。
質問6:RAGに容量制限はありますか。
回答:容量制限があります。説明会時点では、1人当たりのRAG作成数は10件程度、容量は合計25MB程度を想定しています。
質問7:組織RAGは、同じ部局の職員全員に表示されますか。
回答:はい。組織RAGは個人単位ではなく、主に部局単位で権限を設定します。同じ部局に所属する職員は、原則として同じ部局RAGを利用できます。
質問8:AXの出力にハルシネーションはありますか。
回答:ハルシネーションを完全にゼロにすることはできません。自治体業務に関するRAGを参照し、一般的なインターネット情報だけに依存しない設計としているため、誤回答が起こりにくいよう配慮しています。ただし、最終的には利用者による確認が必要です。
日本DX地域創生応援団と地域未来戦略
新家さん、ありがとうございました。「日本DX地域創生応援団とは、どのような団体なのか」と思われている方もいらっしゃると思います。団体の概要と地域未来戦略についてご説明します。
今回の地域未来戦略は、政権の重要政策の一つであり、地方創生の第4フェーズに当たります。日本DX地域創生応援団も、その実現を支援しています。おかげさまで、説明会時点では948自治体の皆様にヤマトくんをご活用いただいています。
当団体は設立当初から、「点を線に、線を面にして、世界へ」という考えを掲げてきました。2021年に岸田内閣が発足し、デジタル田園都市国家構想が打ち出されました。これを受け、デジタル化を支援するスタートアップ、民間企業、個人が集まり、自治体と連携して新しい時代をつくるために設立したのが、一般社団法人 日本DX地域創生応援団です。
2023年、ChatGPTが普及し始めた早い段階で、自治体・公務員向けの行政専用AI「マサルくん」を公開しました。その後、各部署の業務に対応するAIエージェントとして「ヤマトくん」Ver1を開発し、現在のVer2と自治体AXへ発展しています。DXやAXを進めるうえでは人材が重要ですので、「地域DXプロデューサー」の育成にも取り組んでいます。
地域が世界と直接つながる構想
これまでは、人や企業が東京などの大都市へ集まり、国から補助金・交付金が地方へ配分され、世界との接点も大都市に集中する構造でした。
これからは、それぞれの地域で産業と人材が循環し、地域が世界と直接つながる「レジリエント・ローカルハブ」の考え方が重要です。歴史的に大きな仕組みが変わる時期を迎えており、地域未来戦略を通じて、それぞれの地域が世界とつながり、発展できるよう支援したいと考えています。
地方創生の第4フェーズ
今後の地域産業政策は、大きく三つの層で進められます。国が中心となり、半導体、量子コンピューター、宇宙などを推進する「戦略産業クラスター」。都道府県が主導する「地域産業クラスター」。基礎自治体が地域の強みを生かす「地場産業成長プラン」です。
これまでの地方創生は、人口減少や地域消滅を防ぐ「守り」の側面が中心でした。第4フェーズでは「攻め」に転じ、地域が世界とつながり、外貨を稼ぐことを目指します。交付金を受け取り予算を消化するだけではなく、国からの支援を投資として活用し、地場産業を育て、地域を豊かにすることが重要です。
地域未来議員連盟には、説明会時点で約120名の国会議員が参加しています。各省庁とも連携しながら、地域の勝ち筋を見つけ、地域を世界へつなげる取り組みを進めます。
「地域未来戦略を作ろう」支援機能
日本DX地域創生応援団には約100社の法人会員が参加しており、自治体とともに地域未来戦略をつくるため、継続的に協議を行っています。
地場産業を成長させるうえで重要なのは、人材、AI・DX・AXの活用基盤、世界との接続の三つです。まず自治体を中心に、まちづくり会社、NPO、大学・高校、金融機関、地場企業、学生、シニア、関係人口などが集まる地域戦略室やスタジオを設け、地域の勝ち筋を検討します。
そのうえで人材を育て、AIリージョンを形成し、地域を世界へつなげて外貨を稼ぐ基盤をつくります。民間から自治体へ提案する場合にも、自治体が主体となって計画する場合にも対応します。いずれの場合も、地域内の多様な関係者によるコンソーシアムづくりが重要です。
ヤマトくんによる計画作成支援
ヤマトくんには、地域未来戦略の作成を支援する機能があります。自治体名を入力すると、各自治体の総合計画などを踏まえた内容を生成しやすい仕組みになっています。
さらに、地域の強みや資源、観光名所や文化資源、特徴ある地場企業や技術、推進体制、連携する事業者・大学・金融機関、目指す地域の将来像などを入力します。任意項目も含め、情報をできるだけ具体的に入力するほど、内容の精度が上がります。
入力した情報をもとに、AIがヒアリング結果の整理、ディスカッションペーパー、内閣官房の申請様式に沿った計画案を作成します。生成した文章はWordへ出力でき、作成後に「ここを修正してほしい」と指示すれば内容を更新できます。
地域未来戦略は、ゼロから文章を書く必要はありません。最も重要なのは、地域の関係者が十分に話し合い、自分たちの強みや地域の宝を明確にすることです。その内容をヤマトくんへ入力することで、AIが計画案の作成を支援します。
今後のイベント案内
9月29日、東京都港区立産業振興センターで「地域未来戦略を作ろう」のイベントを開催する予定です。
第1部は13時から14時まで、ヤマトくんVer2・PRO版と地域未来AX戦略の説明会をオンラインで配信します。ヤマトくん利用自治体の皆様だけでなく、庁内でまだ利用していない職員や、他自治体の関係者にも、ぜひご案内ください。
第2部は14時から15時45分まで、地域未来戦略の事例共有です。内閣官房から先進事例として紹介されている北九州市のフィジカルAIの取り組みについて、担当者から説明いただく予定です。地域の取り組みを発表したい自治体も募集しています。
第3部は16時から18時まで応援団総会を行い、その後に交流会を予定しています。自治体・企業の皆様に広くご参加いただけます。
地域未来戦略は、まだ全国へ十分に浸透しているとはいえません。それぞれの地域で「これだ」と思える戦略をつくり、積極的に申請していただきたいと思っています。日本DX地域創生応援団としても、自治体の皆様と一緒に地域未来戦略をつくり、実現するお手伝いをしていきます。
結び
ヤマトくんと自治体AXを各地域で活用し、地域未来戦略の策定と実行につなげていただければと思います。本日はご参加いただき、ありがとうございました。
※元の文字起こしデータは、この発言の途中で終了しています。
文字起こしで紹介した自治体AIを試す
文章作成、議会答弁、計画策定、交付金申請など、自治体のさまざまな業務を専門AIが支援します。
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