第2章目標と基本的方向
地方で働く場所をつくる好循環とは|第2章 目標と基本的方向 全文と解説
第2章は、わずか1ページですが、地域未来戦略の「設計図の表紙」にあたる大切な章です。何を目標にし(目標)、どんな順番で進めるのか(基本的方向)が書かれています。法律上は、まち・ひと・しごと創生法が国の総合戦略に書くよう定めている「目標」と「施策に関する基本的方向」にあたります。
このページの要点
2-1目標 ― どこに住んでいても「働く場所がある」社会#
Q地域未来戦略の目標は何ですか?
答え:公式の目標は「安全」「医療・福祉」「質の高い教育」「働く場所」がそろった社会を47都道府県で実現すること。その前提として「強い地域経済の構築」が「不可欠」とされている。
原文 地域未来戦略 (p.4)
第2章 本戦略に関する目標及び施策に関する基本的方向注7
目標については、47 都道府県のどこに住んでいても、安全に生活することができ、必要な医療・福祉や質の高い教育を受けることができ、働く場所がある社会を実現することとする。そのためには、何よりもまず、強い地域経済の構築が不可欠である。
脚注
注7「まち・ひと・しごと創生に関する目標」(法第8条第2項第1号)及び「まち・ひと・しごと創生に関する施策に関する基本的方向」(同項第2号)を指す。「地方創生 2.0 基本構想」(令和7年6月 13 日閣議決定)の第3章「1.目指す姿」、「2.地方創生 2.0 の基本姿勢・視点」、「3.政策の5本柱」及び「4.各主体が果たす役割」で示した内容も踏まえつつ進める。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説
第2章の最初の段落が、地域未来戦略の公式な「目標」です。第1章の最初に書かれていたゴールと同じ言葉が、もう一度くり返されています。それだけ大事だということです。
目標を分解すると、次の4つになります。
- 安全に生活することができる
- 必要な医療・福祉を受けることができる
- 質の高い教育を受けることができる
- 働く場所がある
そして、これを実現するための条件として「何よりもまず、強い地域経済の構築が不可欠」と書かれています。第1章では「重要である」でしたが、ここでは「不可欠」(なくてはならない)と、さらに強い言葉になっています。
たとえば高校を卒業するとき、「地元に残りたいけれど、やりたい仕事がない」という悩みを聞くことがあります。4つ目の「働く場所がある」は、まさにその悩みに応えようとする目標です。
ポイント
- 公式の目標は「安全」「医療・福祉」「質の高い教育」「働く場所」がそろった社会を47都道府県で実現すること。
- その前提として「強い地域経済の構築」が「不可欠」とされている。
2-2基本的方向 ― 大規模投資・産業クラスター・地域資源#
Q地域未来戦略の基本的方向とは何ですか?
答え:道①:成長戦略の17の戦略分野の官民投資を地方に呼び込み、産業クラスターを戦略的に形成する。道②:多様で魅力ある地域資源(地方の大きな伸び代)を最大限活用し、地場産業を含む地域の産業を持続的に成長させる。
原文 地域未来戦略 (p.4)
また、基本的方向については、以下のとおりとする。
17 の戦略分野における官民投資を推進する成長戦略との連携の下、地方に大規模な投資を呼び込み、各地に産業クラスターを戦略的に形成していくとともに、地方の大きな伸び代である多様で魅力ある地域資源を最大限に活用し、地場産業を含む地域の産業、地域経済の持続的な成長を図っていく。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説
「基本的方向」とは、目標に向かってどの道を通っていくかという方針のことです。ここには大きく2本の道が書かれています。
1本目の道:大規模投資と産業クラスター 日本成長戦略の17の戦略分野(AI・半導体、造船、宇宙など)では、国と民間が大きな投資を進めます。その投資を地方に呼び込み、各地に産業クラスター(関連する企業や学校、研究機関が集まった産業のかたまり)を戦略的につくります。
2本目の道:地域資源と地場産業 もう一本は、各地にもともとある地域資源をいかす道です。地域資源とは、その土地ならではの農産物や海産物、温泉や景色、伝統工芸の技術、スポーツチームなどのことです。原文はこれを「地方の大きな伸び代」と呼んでいます。まだ十分にいかしきれていない=これから伸びる余地が大きい、という意味です。
「地場産業を含む地域の産業」という言い方にも注目してください。大企業の工場だけでなく、昔からその土地で続いてきた中小の産業も、一緒に伸ばしていくという姿勢が表れています。
ポイント
- 道①:成長戦略の17の戦略分野の官民投資を地方に呼び込み、産業クラスターを戦略的に形成する。
- 道②:多様で魅力ある地域資源(地方の大きな伸び代)を最大限活用し、地場産業を含む地域の産業を持続的に成長させる。
2-3好循環のしくみ ― 雇用・所得・消費、そして暮らしで下支え#
Q地域未来戦略はどうやって地方に働く場所を増やすのですか?
答え:好循環:投資 → 人材・企業の集約 → 良質な雇用 → 所得増 → 消費マインド改善 → さらなる投資。土台:地域構造の再設計、豊かな生活環境、若者や女性にも選ばれる地方。経済と暮らしの両輪で「強い地域経済を下支え」する。
原文 地域未来戦略 (p.4)
こうした強い経済基盤が地方に構築されることにより、新たな人材や企業の集約が進み、新たに働く場所が創られ、良質な雇用が創出される。さらに、所得の増加が消費マインドの改善をもたらし、それが更なる投資や経済発展につながる。その際、企業投資や人材を受け止める基盤となるよう地域構造の再設計を進めるとともに、豊かな生活環境や、若者や女性にも選ばれる地方を実現することにより、強い地域経済を下支えしていく。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説
この段落は、地域未来戦略の「好循環」の設計図です。矢印でつなぐと、こうなります。
強い経済基盤ができる → 人材や企業が集まる → 新しく働く場所ができ、良質な雇用が生まれる → 所得が増える → 消費マインドが良くなる(お金を使う気持ちになる) → さらなる投資と経済発展へ → (最初に戻る)
ポイントは、「良質な雇用」という言葉です。ただ仕事があればよいのではなく、給料や働く環境がしっかりした仕事を増やす、という意味です。
さらに、この好循環を下から支える3つの土台が書かれています。
- 地域構造の再設計:会社の投資や新しく来る人材を受け止められるように、まちの形そのものを作り直すことです。たとえば、使われなくなった公共施設を集約して、浮いた人やお金を成長分野に回すといった取組です(第3章で詳しく出てきます)。
- 豊かな生活環境:交通、医療、子育て、防災など、安心して暮らせる環境です(第3章第2節)。
- 若者や女性にも選ばれる地方:働き方や職場の雰囲気を変えて、若い世代や女性が「ここで働きたい・住みたい」と思える地方にすることです(第3章第3節)。
つまり、経済(稼ぐ力)と暮らし(住みやすさ)を両輪で回すのが地域未来戦略です。
ポイント
- 好循環:投資 → 人材・企業の集約 → 良質な雇用 → 所得増 → 消費マインド改善 → さらなる投資。
- 土台:地域構造の再設計、豊かな生活環境、若者や女性にも選ばれる地方。
- 経済と暮らしの両輪で「強い地域経済を下支え」する。
よくある疑問
Qなぜ「若者や女性にも選ばれる」ことが経済の話に出てくるのですか?
働き手がいなければ、会社は地方に工場や事務所を作れません。特に若い世代や女性が進学・就職をきっかけに都市部へ移り、戻ってこないことが、地方の人手不足の大きな原因の一つになっています。働き方や職場の環境を変えて選ばれる地方になることは、企業の投資を呼び込むための条件でもあるのです。
2-4住民が実感できる変化 ― 「日本列島を、強く豊かに」#
Q地域未来戦略で住民の暮らしはどう変わるのですか?
答え:目指すのは、手取りが増える・質の高い教育が受けられるといった「住民が実感できる変化」。不安を希望に変え、「日本列島を、強く豊かに」していく。地方創生2.0基本構想(令和7年6月13日閣議決定)の内容も踏まえて進める。
原文 地域未来戦略 (p.4)
これにより、手取りが増える、質の高い教育が受けられるといった、具体的かつ着実な変化を地域の住民一人一人が実感できるようにし、日々の暮らしと未来への不安を希望へと変え、「日本列島を、強く豊かに」していく。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説
最後の段落は、この戦略が住民一人一人に何をもたらすのかを書いています。
具体例として挙がっているのは2つです。
- 手取りが増える:税金や社会保険料を引いた後、実際に自分の財布に入るお金が増えること。
- 質の高い教育が受けられる:地元にいながら、良い教育を受けられること。
ここで大切なのは「実感できるようにし」という言葉です。国のGDPの数字が上がっても、自分の生活が良くなったと感じられなければ意味がない。だから、一人一人が「確かに変わった」と感じられる、具体的で着実な変化を目指す、と書いているのです。
そして第2章は、「日本列島を、強く豊かに」という言葉で締めくくられています。これは地域未来戦略全体のスローガンともいえる言葉です。
注7には、令和7年6月13日に閣議決定された「地方創生 2.0 基本構想」の内容も踏まえて進めると書かれています。地域未来戦略は、地方創生2.0の流れを引き継ぎつつ、そこに「強い地域経済」という柱を太く打ち立てた戦略だといえます。
ポイント
- 目指すのは、手取りが増える・質の高い教育が受けられるといった「住民が実感できる変化」。
- 不安を希望に変え、「日本列島を、強く豊かに」していく。
- 地方創生2.0基本構想(令和7年6月13日閣議決定)の内容も踏まえて進める。
よくある疑問
Q地方創生2.0と地域未来戦略はどう違うのですか?
地方創生2.0基本構想(令和7年6月)は、目指す姿、基本姿勢・視点、政策の5本柱、各主体の役割などを示した構想です。地域未来戦略は、その内容も踏まえつつ、まち・ひと・しごと創生法に基づく国の総合戦略として、特に「強い地域経済の構築」に重点を置き、3類型の計画や予算の仕組みまで具体化したものです(注7、第1章)。
出典・参考資料
- 内閣官房「地域未来戦略」(令和8年7月21日閣議決定)本文 p.4: https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/chiikimirai/pdf/20260721_honbun.pdf
出典:「地域未来戦略」(令和8年7月21日閣議決定)(内閣官房ホームページ)(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/chiikimirai/pdf/20260721_honbun.pdf)を加工して作成。「原文」欄は原文のまま掲載し(改行・脚注の位置のみ読みやすく整理)、見出し・解説・ポイント・Q&Aは村井宗明/日本DX応援団が作成しました。