第3章第1節 KPIと工程表(数値目標の一覧)

地域未来戦略のKPI一覧|スマート農業50%など数値目標と工程表

第1節「強い地域経済の構築」の最後には、国が自分たちの施策について「何を・いつまでに・どれだけ」達成するかを示したKPI(数値目標)と、施策を進める順番を示した工程がまとめられています。このページでは、原文のa〜hの8分野ごとにKPIを表に整理し、それぞれの数字が何を意味するのかをわかりやすく解説します。

原文の場所:第3章 第1節 ア Ⅱ 6 p.26〜30国農林水産省経済産業省国税庁文化庁スポーツ庁観光庁環境省総務省都道府県市町村中堅・中小企業スタートアップ

このページの要点

  • 13-1a 地域資源の活用促進のKPI:スマート農業技術の活用割合50%(2030年度)、訪日外国人旅行者(スポーツ観戦)100万人超(2030年)、「コンテンツ地方創生拠点」200か所(2033年度)など9項目。
  • 13-2a の工程:スマート農業・林業・水産業、酒類業、文化観光、劇場・音楽堂、スポーツツーリズム、コンテンツ、国立公園、脱炭素先行地域、資源循環の進め方とスケジュール。
  • 13-3b GX・DXの推進:国内で半導体を生産する企業の合計売上高(半導体関連)15兆円超(2030年)など。データセンター・海底ケーブルの地方分散も進める。
  • 13-4c 産業の地方移転・産業立地促進:中小企業等が立地するための産業用地35.8ha(2026年度)。
  • 13-5d 中堅・中小企業等の稼ぐ力の強化:重点支援企業数200件(2026年度)と、大規模成長投資補助金での賃上げ(給与支給総額の伸び率)目標。
  • 13-6e スタートアップの創出促進:産学連携プロジェクト240件(2029年度)、ローカル10,000プロジェクトの継続事業の割合95%など。
  • 13-7f 地場産品の輸出促進:海外展開支援件数(専門家のハンズオン支援735件、越境EC等の活用支援3,919件、いずれも2026年度)。
  • 13-8g インバウンド促進:インバウンド消費額15兆円(2030年)。
  • 13-9h 人材育成・リスキリング促進:リスキリングを行った地方経営者等が毎年約5,000人(2029年まで)。

13-1a 地域資源の活用促進のKPI ― スマート農業50%・スポーツ観戦100万人超#

Q地域未来戦略の「地域資源の活用促進」のKPI(数値目標)は何ですか?

答え:地域資源の活用促進のKPIは、スマート農業技術の活用割合50%(2030年度)、訪日外国人旅行者(スポーツ観戦)100万人超(2030年)、「コンテンツ地方創生拠点」の選定件数200か所(2033年度)など9項目。酒類業振興支援事業費補助金と文化観光推進法の計画では、目標を達成した割合80%以上という成果型のKPIが置かれている。地域脱炭素推進交付金によるCO2排出量の削減は18,167,874t-CO2(2030年度)。

原文 地域未来戦略 (p.26)

6. 本節の KPI 及び工程

a.地域資源の活用促進

[KPI]

・スマート農業技術の活用割合:50%(2030 年度)

・補助事業者が採択された年度内に実施する酒類業振興支援事業費補助金

の補助事業終了から5年後に、補助事業者が交付申請時に設定した輸出金額や観光客数等に係る目標を達成した事業の割合:各年度の採択事業について、80%以上

・文化観光推進法注15に基づく拠点計画・地域計画で設定した来訪者の満足度に関する目標を達成した計画数の割合:80%以上(毎年)

※原則5年間の計画を毎年追加認定しており、1年目から5年目までの全ての計画を対象として、来訪者の満足度 80%以上を目標としている。

・地域のスポーツ資源を活用したスポーツツーリズムコンテンツの創出支

援件数:50 件(2026 年度)

・訪日外国人旅行者(スポーツ観戦):100 万人超(2030 年)

・「コンテンツ地方創生拠点」の選定件数:200 か所(2033 年度)

・地域脱炭素推進交付金による CO2 排出量の削減:18,167,874t-CO2(2030年度)

・地域の課題を解決する資源循環に係るモデル実証事業実施件数:毎年 14件(2025~2027 年度)

・実証・調査事業の実施注16:1件(2026 年度)

脚注

注15文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律(令和2年法律第 18 号)。

注16資源循環ネットワーク形成及び再生材製造拠点の戦略的構築に関する調査及び実証事業。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説

まず言葉の確認です。KPIは、目標に向かってどこまで進んだかを測る「ものさし」になる数値目標です。ここで並ぶKPIは、自治体の計画のKPIではなく、国の施策のKPIです。

「地域資源の活用促進」のKPIを表にまとめます(数値は原文のとおり)。

指標 目標値 目標年度
スマート農業技術の活用割合 50% 2030年度
酒類業振興支援事業費補助金で、補助事業終了から5年後に、交付申請時に設定した輸出金額や観光客数等の目標を達成した事業の割合 80%以上 各年度の採択事業について
文化観光推進法に基づく拠点計画・地域計画で、来訪者の満足度に関する目標を達成した計画数の割合 80%以上 毎年
地域のスポーツ資源を活用したスポーツツーリズムコンテンツの創出支援件数 50件 2026年度
訪日外国人旅行者(スポーツ観戦) 100万人超 2030年
「コンテンツ地方創生拠点」の選定件数 200か所 2033年度
地域脱炭素推進交付金によるCO2排出量の削減 18,167,874t-CO2 2030年度
地域の課題を解決する資源循環に係るモデル実証事業実施件数 毎年14件 2025~2027年度
実証・調査事業の実施(注16) 1件 2026年度

いくつか読み方を説明します。

  • スマート農業技術の活用割合50%:ドローンでの農薬散布、自動で走るトラクター、センサーで水田を管理する技術などを「スマート農業」と呼びます。それを使う割合を2030年度に半分まで高める、という目標です。
  • 酒類業の80%以上:日本酒やワインなどの事業者が補助を受けたとき、自分で決めた「輸出金額」や「観光客数」の目標を、5年後に8割以上の事業が達成することを目指します。補助して終わりではなく、5年後の成果まで追いかける点が特徴です。
  • 文化観光の80%以上:※書きにあるとおり、計画は原則5年間で毎年追加認定されるため、1年目から5年目までのすべての計画が対象です。
  • スポーツ観戦の100万人超:海外から日本のスポーツを見に来る人を、2030年に100万人より多くする目標です。

このように、KPIには「件数(何件支援したか)」と「成果(何%達成したか)」の2種類が混ざっています。違いを意識して読むと理解が深まります。

ポイント

  • 地域資源の活用促進のKPIは、スマート農業技術の活用割合50%(2030年度)、訪日外国人旅行者(スポーツ観戦)100万人超(2030年)、「コンテンツ地方創生拠点」の選定件数200か所(2033年度)など9項目。
  • 酒類業振興支援事業費補助金と文化観光推進法の計画では、目標を達成した割合80%以上という成果型のKPIが置かれている。
  • 地域脱炭素推進交付金によるCO2排出量の削減は18,167,874t-CO2(2030年度)。

よくある疑問

QここのKPIは、自治体が達成しなければいけない目標ですか?

A

ここに並んでいるのは「本節のKPI」、つまり第1節に書かれた国の施策の数値目標です。自治体がA・B・Cの計画で設定するKGI・KPIとは別のものです。ただし、多くは地域の取組の積み重ねで達成されるものなので、自治体の計画とも深く関わります。

13-2a 地域資源の活用促進の工程 ― 農林水産業・文化・スポーツ・脱炭素の進め方#

Q地域資源の活用促進の工程(スケジュール)はどうなっていますか?

答え:地域資源の活用促進の工程は、スマート農業・林業・水産業を2030年度まで推進し、2030年度以降は評価等を踏まえて施策を検討する流れになっている。劇場・音楽堂等との連携は2026年度から補助金事業を開始し、2029年度以降に見直す。コンテンツと地方創生の好循環プランは2028年に中間見直しを行う。国立公園は2030年までに全国立公園で滞在環境の魅力向上を推進し、資源循環は2027年度まで実証を行った後に横展開する。

原文 地域未来戦略 (p.26〜27)

[工程]

・インバウンドによる食関連消費の拡大に資する施策を検討し、2027 年度以降は地域の拠点の整備等を推進する。

・スマート農業推進に向け、農業構造転換集中対策を実施し、2030 年度以降は食料・農業・農村基本計画注17の進捗等を踏まえ施策の方向性を検討する。

・スマート林業推進に向け、森林・林業基本計画注18に即しデジタル林業戦略拠点を横展開し、2030 年度以降、達成状況等を踏まえ施策を検討する。

・スマート水産業推進に向け、機械導入や技術開発への支援を行い、2030 年度以降は導入効果等の評価を踏まえて施策を検討する。

・酒類業の振興に向け、酒類事業者の意欲的な取組を支援し、各年度の採択事業者に対しては補助事業終了後5年間にわたりフォローアップを行う。

・文化観光推進法に基づき文化観光拠点施設を核とした文化観光を推進しており、毎年度計画の認定や計画に基づく取組を支援する。

・劇場・音楽堂等との連携による地域活動基盤づくりに向け、2026 年度から補助金事業を開始し、2029 年度以降、進捗に応じて見直しを行う。

・地域活性化に向けたスポーツツーリズムコンテンツの創出等を、2026 年度以降も過年度事業のフォローアップを行いながら継続的に進める。

・スポーツエンタメ・コンテンツの海外展開に向け、補助事業による支援、その後の事業者による自走の加速化を通じ、インバウンド拡大につなげる。

・コンテンツと地方創生の好循環プランの実現に向け、拠点の選定や海外発信等を促進し、2028 年の中間見直しを踏まえ、以降の取組を推進する。

・国立公園満喫プロジェクトの 2026 年以降の取組方針に基づき、2030 年までに全国立公園で滞在環境の魅力向上を推進する。

・2030 年度までの脱炭素先行地域等の実現及び横展開への支援や、2026 年5月に示した方向性注19を踏まえた 2027 年度以降の支援の具体化を進める。

・地域における資源循環の促進に向け、循環型ビジネスモデル実証を 2027年度まで実施後、自治体フォーラム等を活用し横展開・拡大を進める。

脚注

注17令和7年4月 11 日閣議決定。

注18令和8年6月5日閣議決定。

注19環境省「地域資源を活用したレジリエントなエネルギー・経済循環の実現に向けて」(令和8年5月 29 日)。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説

工程とは、施策を「いつ・どの順番で」進めるかを示したスケジュールです。原文の最後の行の末尾に「b.GX・DX の推進」とありますが、これは次の分野の見出しが原文の組版上つながったもので、内容は次の節で扱います。

分野ごとに工程を整理します。

分野 主な工程(原文の要約)
食・インバウンド 食関連消費の拡大策を検討し、2027年度以降は地域の拠点の整備等を推進
スマート農業 農業構造転換集中対策を実施し、2030年度以降は食料・農業・農村基本計画の進捗等を踏まえて方向性を検討
スマート林業 デジタル林業戦略拠点を横展開し、2030年度以降は達成状況等を踏まえて検討
スマート水産業 機械導入や技術開発を支援し、2030年度以降は導入効果等の評価を踏まえて検討
酒類業 意欲的な取組を支援し、採択事業者を補助事業終了後5年間フォローアップ
文化観光 毎年度、計画の認定や計画に基づく取組を支援
劇場・音楽堂等 2026年度から補助金事業を開始し、2029年度以降に進捗に応じて見直し
スポーツツーリズム 2026年度以降も過年度事業のフォローアップを行いながら継続
スポーツエンタメ・コンテンツの海外展開 補助事業→事業者の自走の加速化→インバウンド拡大
コンテンツと地方創生 拠点の選定や海外発信等を促進し、2028年の中間見直しを踏まえて推進
国立公園 2030年までに全国立公園で滞在環境の魅力向上
脱炭素 2030年度までの脱炭素先行地域等の実現・横展開を支援し、2027年度以降の支援を具体化
資源循環 循環型ビジネスモデル実証を2027年度まで実施後、自治体フォーラム等で横展開・拡大

多くの工程に「2030年度以降は〜を踏まえて検討」という書き方が出てきます。地域未来戦略の計画期間は2030年度までなので、そこまでは決めた施策をしっかり実行し、その結果を見てから次を考える、という組み立てになっているのです。

ポイント

  • 地域資源の活用促進の工程は、スマート農業・林業・水産業を2030年度まで推進し、2030年度以降は評価等を踏まえて施策を検討する流れになっている。
  • 劇場・音楽堂等との連携は2026年度から補助金事業を開始し、2029年度以降に見直す。コンテンツと地方創生の好循環プランは2028年に中間見直しを行う。
  • 国立公園は2030年までに全国立公園で滞在環境の魅力向上を推進し、資源循環は2027年度まで実証を行った後に横展開する。

13-3b GX・DXの推進 ― 半導体売上15兆円超とデジタルインフラの地方分散#

Q地域未来戦略のGX・DX分野のKPIは何ですか?

答え:GX・DXの推進のKPIは、国内で半導体を生産する企業の合計売上高(半導体関連)15兆円超(2030年)と、ポスト5Gの研究開発で開発した技術の実用化率50%以上(各採択テーマ終了後おおむね3年)。データセンター、海底ケーブル等の地方分散によるデジタルインフラ強靱化に向けて、2026年度に支援事業を公募し、2030年度以降に運用を開始する。先端半導体の国内生産拠点の確保と情報通信基盤の強化は、マイルストーンで進捗を確認しながら事業計画の認定・見直しを行う。

原文 地域未来戦略 (p.27〜28)

b.GX・DX の推進

[KPI]

・国内で半導体を生産する企業の合計売上高(半導体関連):15 兆円超(2030年)

・ポスト 5G 情報通信システム基盤強化研究開発事業で開発した技術の実用化率:50%以上(各採択テーマ終了後おおむね3年)

[工程]

・データセンター、海底ケーブル等の地方分散によるデジタルインフラ強靱化に向け 2026 年度に支援事業を公募、2030 年度以降に運用を開始。

・先端半導体の国内生産拠点の確保と情報通信基盤の強化に向け、引き続きマイルストーンで進捗を確認しながら、事業計画の認定・見直しを行う。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説

GXはグリーントランスフォーメーション(脱炭素に向けた変革)、DXはデジタルトランスフォーメーション(デジタル技術による変革)のことです。

指標 目標値 目標年度
国内で半導体を生産する企業の合計売上高(半導体関連) 15兆円超 2030年
ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業で開発した技術の実用化率 50%以上 各採択テーマ終了後おおむね3年

半導体は、スマホやパソコン、自動車、家電など、あらゆる電子機器の「頭脳」となる部品です。国内で半導体を作る企業の売上を合計で15兆円より大きくする目標です。半導体工場は地方に建てられることが多く、地域の雇用や取引にも大きく影響します。

ポスト5Gは、今の5G(第5世代移動通信)をさらに進めた次の通信の基盤です。研究で開発した技術の半分以上が、研究終了からおおむね3年で実際に使われることを目指します。研究して終わりにしない、というメッセージです。

工程では、データセンターや海底ケーブルを地方に分散させてデジタルインフラを強くする事業を2026年度に公募し、2030年度以降に運用を開始するとしています。大きな災害で東京などの一か所が止まっても、日本全体のデジタルサービスが止まらないようにする狙いがあります。

※原文の末尾にある「c.産業の地方移転・産業立地促進」は次の分野の見出しで、次の節で扱います。

ポイント

  • GX・DXの推進のKPIは、国内で半導体を生産する企業の合計売上高(半導体関連)15兆円超(2030年)と、ポスト5Gの研究開発で開発した技術の実用化率50%以上(各採択テーマ終了後おおむね3年)。
  • データセンター、海底ケーブル等の地方分散によるデジタルインフラ強靱化に向けて、2026年度に支援事業を公募し、2030年度以降に運用を開始する。
  • 先端半導体の国内生産拠点の確保と情報通信基盤の強化は、マイルストーンで進捗を確認しながら事業計画の認定・見直しを行う。

よくある疑問

Qなぜデータセンターを地方に分散させるのですか?

A

原文では、地方分散による「デジタルインフラ強靱化」が目的とされています。強靱化とは、災害などが起きても機能が止まりにくい、しなやかで強い状態にすることです。データの拠点が一か所に集中していると、そこが被災したときの影響が大きくなるためです。

13-4c 産業の地方移転・産業立地促進 ― 産業用地35.8ha#

Q産業用地の整備について、地域未来戦略の数値目標は何ですか?

答え:産業の地方移転・産業立地促進のKPIは、産業用地整備支援により新たに計画される、地域経済をけん引する中小企業等が立地するための産業用地の面積35.8ha(2026年度)。2026年に改正した地域未来投資促進法等により、産業用地・インフラの確保を進める。

原文 地域未来戦略 (p.28)

c.産業の地方移転・産業立地促進

[KPI]

・産業用地整備支援により新たに計画される地域経済をけん引する中小企業等が立地するための産業用地の面積:35.8ha(2026 年度)

[工程]

・2026 年に改正した地域未来投資促進法等による産業用地・インフラ確保を進める。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説

指標 目標値 目標年度
産業用地整備支援により新たに計画される、地域経済をけん引する中小企業等が立地するための産業用地の面積 35.8ha 2026年度

産業用地とは、工場や物流施設などを建てるための土地です。企業が「この町に工場を建てたい」と思っても、すぐに使える土地がなければ、別の地域に行ってしまいます。そこで国が用地の整備を支援し、地域経済をけん引する中小企業等が立地できる土地を新たに35.8ha計画することを目指します。

ha(ヘクタール)は面積の単位で、1haは100m×100mの広さです。35.8haは、およそ東京ドーム(約4.7ha)7〜8個分にあたります。

工程では、2026年に改正した地域未来投資促進法等によって、産業用地とインフラの確保を進めるとしています。法律の改正内容の詳細は、所管府省庁の公表資料で確認してください。

ポイント

  • 産業の地方移転・産業立地促進のKPIは、産業用地整備支援により新たに計画される、地域経済をけん引する中小企業等が立地するための産業用地の面積35.8ha(2026年度)。
  • 2026年に改正した地域未来投資促進法等により、産業用地・インフラの確保を進める。

13-5d 中堅・中小企業等の稼ぐ力の強化 ― 重点支援200件と賃上げ目標#

Q中堅・中小企業の稼ぐ力の強化や賃上げについて、地域未来戦略のKPIは何ですか?

答え:中堅・中小企業等の稼ぐ力の強化のKPIは、中堅・中核企業の経営力強化支援事業における重点支援企業数200件(2026年度)と、大規模成長投資補助金の交付決定企業における従業員一人当たり給与支給総額の伸び率。給与支給総額の伸び率は、令和5年度補正予算分が地域別の最低賃金の伸び率超(2030年度)、令和6年度補正予算分が全国平均の最低賃金の伸び率超(2031年度)、令和7年度補正予算分が年平均5%(100億宣言企業は4.5%)超(2032年度)。地域金融力の強化に向け、2025年12月に策定した地域金融力強化プランに基づく施策を推進する。

原文 地域未来戦略 (p.28)

d.中堅・中小企業等の稼ぐ力の強化

[KPI]

・中堅・中核企業の経営力強化支援事業における重点支援企業数:200 件(2026 年度)

・(中堅・中小・スタートアップ企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金事業の)交付決定企業の申請計画における、対象事業に関わる従業員の一人当たり給与支給総額伸び率:

地域別の最低賃金の伸び率(令和5年度補正予算)を超える(2030 年度)全国平均の最低賃金の伸び率(令和6年度補正予算)を超える(2031 年度)

年平均5%(100 億宣言企業注20は 4.5%)(令和7年度補正予算)を超える(2032 年度)

[工程]

・中堅・中核企業の経営力強化に向け、2026 年度に事業者の採択と事業実施を行い、2027 年度以降は補助事業の分析を行う。

・地域金融力の強化に向け、2025 年 12 月に策定した地域金融力強化プランに基づく各施策を推進する。

脚注

注20飛躍的成長を遂げるために、自ら「売上高 100 億円」という野心的な目標を目指し、実現に向けた取組を行っていくことを宣言する中小企業。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説

ここは数字の書き方が少し複雑なので、表に分けて整理します。

指標 目標値 目標年度
中堅・中核企業の経営力強化支援事業における重点支援企業数 200件 2026年度
大規模成長投資補助金(令和5年度補正予算)の交付決定企業の申請計画における、対象事業に関わる従業員の一人当たり給与支給総額伸び率 地域別の最低賃金の伸び率を超える 2030年度
同(令和6年度補正予算) 全国平均の最低賃金の伸び率を超える 2031年度
同(令和7年度補正予算) 年平均5%(100億宣言企業は4.5%)を超える 2032年度

2つ目のKPIの正式名は、「中堅・中小・スタートアップ企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金事業」です。この補助金を受ける企業は、申請のときに「従業員1人あたりの給料をこれだけ増やす」という計画を出します。KPIは、その給料の伸び率が一定のラインを超えることです。どの予算年度の補助金かによって、超えるべきラインが段階的に高くなっているのがわかります。

100億宣言企業(注20)は、自分から「売上高100億円」という大きな目標を掲げ、それに向けて取り組むことを宣言した中小企業です。

工程では、中堅・中核企業の経営力強化事業を2026年度に採択・実施し、2027年度以降に分析を行います。また、2025年12月に策定した地域金融力強化プランに基づいて、地域の銀行などによる支援の力も強めます。

ポイント

  • 中堅・中小企業等の稼ぐ力の強化のKPIは、中堅・中核企業の経営力強化支援事業における重点支援企業数200件(2026年度)と、大規模成長投資補助金の交付決定企業における従業員一人当たり給与支給総額の伸び率。
  • 給与支給総額の伸び率は、令和5年度補正予算分が地域別の最低賃金の伸び率超(2030年度)、令和6年度補正予算分が全国平均の最低賃金の伸び率超(2031年度)、令和7年度補正予算分が年平均5%(100億宣言企業は4.5%)超(2032年度)。
  • 地域金融力の強化に向け、2025年12月に策定した地域金融力強化プランに基づく施策を推進する。

よくある疑問

Q「最低賃金の伸び率を超える」とはどういう意味ですか?

A

最低賃金は、法律で決められた「これより低い時給で働かせてはいけない」金額で、毎年見直されています。KPIは、補助金を受けた企業の従業員1人あたりの給与の伸び方が、その最低賃金の伸び方を上回ることを目標にしている、という意味です。

13-6e スタートアップの創出促進 ― 産学連携240件とローカル10,000プロジェクト#

Q地域のスタートアップ支援について、地域未来戦略のKPIは何ですか?

答え:スタートアップの創出促進のKPIは、第2期スタートアップ・エコシステム形成計画のKPI達成割合80%(2029年度)、産学連携プロジェクトの創出件数240件(2029年度)、ローカル10,000プロジェクト活用事業の継続事業の割合95%(2026年度~2030年度)。拠点都市の機能強化を進め、2028年度に中間評価を行う。地域大学における産学融合拠点の整備を支援し、ローカル10,000プロジェクトではAIを活用した生産性向上等を図る地域密着型の新規事業の立ち上げを支援する。

原文 地域未来戦略 (p.28〜29)

e.スタートアップの創出促進

[KPI]

・第2期スタートアップ・エコシステム形成計画における KPI 達成割合:

80%(2029 年度)

・産学連携プロジェクトの創出件数:240 件(2029 年度)

・ローカル 10,000 プロジェクト(地域経済循環創造事業交付金)活用事業における継続事業の割合:95%(2026 年度~2030 年度)

[工程]

・グローバルに稼げるスタートアップが多く創出されるエコシステムの形成に向け、拠点都市の機能強化を進め、2028 年度には中間評価を行う。

・地域大学における産学融合拠点の整備を支援し、今後は当該拠点における産学共同研究やスタートアップの創出等を進める。

・ローカル 10,000 プロジェクトの更なる推進に向け、AI を活用した生産性向上等を図る地域密着型の新規事業の立ち上げを支援する。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説

スタートアップとは、新しい技術やアイデアで急成長を目指す若い企業のことです。

指標 目標値 目標年度
第2期スタートアップ・エコシステム形成計画におけるKPI達成割合 80% 2029年度
産学連携プロジェクトの創出件数 240件 2029年度
ローカル10,000プロジェクト(地域経済循環創造事業交付金)活用事業における継続事業の割合 95% 2026年度~2030年度

スタートアップ・エコシステムの「エコシステム」は、もともと生態系という意味です。大学、投資家、先輩起業家、自治体などが森の生き物のようにつながり合い、次々に新しい会社が生まれ育つ環境をつくる、という考え方です。1つ目のKPIは、「計画に書いたKPIの8割を達成する」という、KPIの達成率をKPIにしたものです。

産学連携は、大学(学)と企業(産)が一緒に研究や事業を進めることです。

ローカル10,000プロジェクトは、地域の資源をいかして地域でお金が回る事業の立ち上げを支える交付金の事業です。KPIは「始めた事業の95%が続いていること」。新しく始めるだけでなく、続けられることを重視しています。工程では、AIを活用した生産性向上等を図る地域密着型の新規事業の立ち上げを支援するとしています。

ポイント

  • スタートアップの創出促進のKPIは、第2期スタートアップ・エコシステム形成計画のKPI達成割合80%(2029年度)、産学連携プロジェクトの創出件数240件(2029年度)、ローカル10,000プロジェクト活用事業の継続事業の割合95%(2026年度~2030年度)。
  • 拠点都市の機能強化を進め、2028年度に中間評価を行う。
  • 地域大学における産学融合拠点の整備を支援し、ローカル10,000プロジェクトではAIを活用した生産性向上等を図る地域密着型の新規事業の立ち上げを支援する。

13-7f 地場産品の輸出促進 ― 海外展開支援735件・越境EC3,919件#

Q地場産品の輸出促進について、地域未来戦略のKPIは何ですか?

答え:地場産品の輸出促進のKPIは、専門家のハンズオン支援による海外展開支援件数735件と、越境EC等の活用支援による海外展開支援件数3,919件(いずれも2026年度)。大規模輸出産地の育成に向け、KPIの進捗を毎年管理し、2030年4月以降に事業の効果検証を行う。中堅・中小企業の海外展開支援として、海外ビジネス専門家による最大3年程度の伴走支援を引き続き実施する。

原文 地域未来戦略 (p.29)

f.地場産品の輸出促進

[KPI]

・専門家のハンズオン支援による輸出・投資等の海外展開支援件数:735 件(2026 年度)

・越境 EC 等の活用支援による輸出・投資等の海外展開支援件数:3,919 件(2026 年度)

原文 地域未来戦略 (p.29)

[工程]

・大規模輸出産地の育成に向け、KPI の進捗を毎年管理しつつ、施策を計画的に進め、2030 年4月以降、事業の効果検証を行う。

・酒類業の振興に向け、酒類事業者の意欲的な取組を支援し、各年度の採択事業者に対しては補助事業終了後5年間にわたりフォローアップを行う。【再掲】

・中堅・中小企業の海外展開の支援として、海外ビジネス専門家による伴走支援を実施しており、引き続き、最大3年程度の伴走支援を実施する。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説

指標 目標値 目標年度
専門家のハンズオン支援による輸出・投資等の海外展開支援件数 735件 2026年度
越境EC等の活用支援による輸出・投資等の海外展開支援件数 3,919件 2026年度

ハンズオン支援とは、専門家が助言するだけでなく、実際に手を動かして一緒に取り組む支援のことです。越境ECは、インターネット通販(EC)を使って、国境を越えて海外のお客さんに直接売ることです。

2つを比べると、越境EC等の支援件数のほうがずっと多く設定されています。専門家が付きっきりで支える支援は手間がかかる分だけ件数が少なく、ネット販売の支援は多くの事業者に広く届けやすい、という違いが数字に表れていると読めます。

工程では、大規模輸出産地の育成を進め、2030年4月以降に事業の効果検証を行います。酒類業の振興は【再掲】、つまりa「地域資源の活用促進」と同じ内容がもう一度書かれています。海外ビジネス専門家による最大3年程度の伴走支援も引き続き実施します。地場産業成長プランで「域外・海外需要の獲得」を目指す地域にとって、関係の深い施策です。

※原文の末尾にある「g.インバウンド促進」は次の分野の見出しです。

ポイント

  • 地場産品の輸出促進のKPIは、専門家のハンズオン支援による海外展開支援件数735件と、越境EC等の活用支援による海外展開支援件数3,919件(いずれも2026年度)。
  • 大規模輸出産地の育成に向け、KPIの進捗を毎年管理し、2030年4月以降に事業の効果検証を行う。
  • 中堅・中小企業の海外展開支援として、海外ビジネス専門家による最大3年程度の伴走支援を引き続き実施する。

よくある疑問

Q小さな事業者でも海外に売る支援を受けられますか?

A

原文では、中堅・中小企業の海外展開の支援として、海外ビジネス専門家による伴走支援を実施するとされています。具体的な対象や申込方法は原文に書かれていないため、所管府省庁やJETROなどの公表資料で確認してください。

13-8g インバウンド促進 ― インバウンド消費額15兆円(2030年)#

Q地域未来戦略のインバウンド消費額の目標はいくらですか?

答え:インバウンド促進のKPIは、インバウンド消費額15兆円(2030年)。新たな観光立国推進基本計画に基づき、2030年度まで消費額拡大・地方誘客の促進等を図る。

原文 地域未来戦略 (p.29)

g.インバウンド促進

[KPI]

・インバウンド消費額:15 兆円(2030 年)

[工程]

・2026 年度以降の施策の方向性を示す、新たな観光立国推進基本計画注21に基づき、2030 年度まで消費額拡大・地方誘客の促進等を図る。

脚注

注21令和8年3月 27 日閣議決定。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説

指標 目標値 目標年度
インバウンド消費額 15兆円 2030年

インバウンドは、海外から日本に来る旅行者のことです。インバウンド消費額は、その旅行者が日本で使うお金(宿泊、食事、買い物、交通、体験など)の合計です。

15兆円という数字は、海外の人が日本に来てお金を使うことが、日本にとって大きな「輸出」と同じ効果を持つことを示しています。モノを海外に送らなくても、旅行者が地域に来て地元の料理を食べ、工芸品を買えば、地域の外からお金が入ってきます。これは第1節の「域外から稼げる産業を育てる」という考え方とつながります。

工程では、新たな観光立国推進基本計画(注21)に基づき、2030年度まで消費額の拡大と地方誘客(東京・京都などだけでなく地方にも旅行者に来てもらうこと)を進めます。

ポイント

  • インバウンド促進のKPIは、インバウンド消費額15兆円(2030年)。
  • 新たな観光立国推進基本計画に基づき、2030年度まで消費額拡大・地方誘客の促進等を図る。

13-9h 人材育成・リスキリング促進 ― 地方経営者等のリスキリング毎年約5,000人#

Q地域未来戦略のリスキリング(学び直し)のKPIは何ですか?

答え:人材育成・リスキリング促進のKPIは、産学官連携リ・スキリングによる地方創生においてリスキリングを行った地方経営者等の人数が毎年約5,000人(2029年まで)。リスキリングプログラムの収益化や処遇改善等を進め、地域の大学・高専は学部再編等を経て2028年度以降に人材を輩出する。第1節の施策は、産業クラスターの形成だけでなく、次節以降のこれまでの地方創生の支援策等とともに、戦略の目標達成に活用する。

原文 地域未来戦略 (p.29〜30)

h.人材育成・リスキリング促進

[KPI]

・産学官連携リ・スキリングによる地方創生において、リスキリングを行った地方経営者等の人数:毎年約 5,000 人(2029 年まで)

[工程]

・リスキリングプログラムの収益化や処遇改善等を進め、2027 年度以降は成長分野のニーズに対応した必要な措置を講ずる。

・地域に所在する大学・高専の機能強化に向け、公募及び選定校による学部再編等を進め、2028 年度以降には大学等による人材輩出を進める。

・地域のデジタル化の促進に向け、事業実施とフォローアップを重ね、2029 年度以降は事業の進捗を踏まえて方向性を検討する。

なお、本節に記載の施策については、産業クラスターの形成のみならず、次節以降に記載したこれまでの地方創生の支援策等の政策ツールとともに、本戦略に関する目標の達成に活用するものとする。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説

指標 目標値 目標年度
産学官連携リ・スキリングによる地方創生において、リスキリングを行った地方経営者等の人数 毎年約5,000人 2029年まで

リスキリングとは、仕事に必要な新しい知識や技術を学び直すことです。ここでは対象が「地方経営者等」になっている点が特徴です。会社のトップ自身が新しい経営やデジタル・AIの知識を学ぶことで、会社全体を変えていこうという狙いです。

工程は3つです。

  1. リスキリングプログラムの収益化や処遇改善等を進め、2027年度以降は成長分野のニーズに対応した措置を講じる。学んだ人の給料や待遇が上がらなければ、学ぶ意欲は続きません。
  2. 地域の大学・高専の機能強化として、学部の再編等を進め、2028年度以降に大学等から人材を送り出す。
  3. 地域のデジタル化の事業とフォローアップを重ね、2029年度以降に方向性を検討する。

最後の「なお」から始まる段落は、第1節全体のまとめです。ここに書かれた施策は、産業クラスターの形成だけでなく、次の節以降に書かれたこれまでの地方創生の支援策とあわせて、地域未来戦略の目標達成に使うとしています。

ポイント

  • 人材育成・リスキリング促進のKPIは、産学官連携リ・スキリングによる地方創生においてリスキリングを行った地方経営者等の人数が毎年約5,000人(2029年まで)。
  • リスキリングプログラムの収益化や処遇改善等を進め、地域の大学・高専は学部再編等を経て2028年度以降に人材を輩出する。
  • 第1節の施策は、産業クラスターの形成だけでなく、次節以降のこれまでの地方創生の支援策等とともに、戦略の目標達成に活用する。

よくある疑問

Qリスキリングとリカレント教育は違うのですか?

A

どちらも大人の学び直しを指す言葉で、重なる部分が大きいです。一般に、リスキリングは「今の仕事や新しい仕事に必要なスキルを身につける」ことに重点があり、リカレント教育は「仕事と学びを行き来する」ことに重点があります。原文では「リスキリング」「リ・スキリング」という言葉が使われています。

出典・参考資料

出典:「地域未来戦略」(令和8年7月21日閣議決定)(内閣官房ホームページ)(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/chiikimirai/pdf/20260721_honbun.pdf)を加工して作成。「原文」欄は原文のまま掲載し(改行・脚注の位置のみ読みやすく整理)、見出し・解説・ポイント・Q&Aは村井宗明/日本DX応援団が作成しました。

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