第1章はじめに
「強く豊かな日本」投資枠と地域未来交付金とは|第1章 はじめに 全文と解説
第1章は、地域未来戦略全体の「予告編」です。なぜ今、国が地方の経済に本気で投資するのか。どんな計画で、どんなお金の仕組みで進めるのか。2030年度までに何を目指すのか。この章を読めば、戦略の骨組みがひととおりわかります。
このページの要点
- 1-1目指すのは「47都道府県のどこに住んでいても、安全に暮らせて、医療・福祉と質の高い教育を受けられ、働く場所がある社会」。
- 1-2その土台は「強い地域経済」。地方部(39道県)は日本のGDPの約半分を生んでいる。
- 1-3日本成長戦略と一緒に、投資→賃金→消費→税収の好循環を地方から起こす。
- 1-4産業を3つの型(戦略産業クラスター計画・地域産業クラスター計画・地場産業成長プラン)に分けて計画を作る。
- 1-5お金は「強く豊かな日本」投資枠、既存予算とは別枠のインフラ整備、地域未来交付金の拡充、補助金の地域未来枠で支える。
- 1-6当初予算で、複数年度にわたり見通しの立つ形で予算を組む。
- 1-8計画期間は2030年度まで。これまでの地方創生の取組も含めた「全体戦略」。
1-1目指す社会 ― 47都道府県のどこに住んでいても#
Q地域未来戦略はどんな社会を目指しているのですか?
答え:ゴールは「安全」「医療・福祉」「質の高い教育」「働く場所」の4つがそろった社会。対象は特定の地域ではなく、47都道府県すべて。人口減少で生まれる「将来への不安」を「希望」に変えることが出発点。
原文 地域未来戦略 (p.1)
第1章 はじめに
人口減少が進行し、将来の不確実性が高まる中において、今の暮らしや未来への不安を希望へと転換することが求められている。すなわち、47 都道府県のどこに住んでいても、安全に生活することができ、必要な医療・福祉や質の高い教育を受けることができ、働く場所がある社会の実現を目指す。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説
地域未来戦略が目指すゴールは、とてもシンプルです。日本のどこに住んでいても、「安全に暮らせる」「医療・福祉を受けられる」「質の高い教育を受けられる」「働く場所がある」。この4つがそろった社会です。
当たり前のように聞こえるかもしれません。でも、人口が減っている地方では、この「当たり前」が少しずつ崩れ始めています。病院の診療科がなくなる、高校が統合されて遠くなる、若い人が働きたい会社が地元にない。だから進学や就職で都会に出て、戻ってこない。こうした悪循環が、多くの地域で起きています。
原文の「今の暮らしや未来への不安を希望へと転換する」という言葉には、「不安だから出ていく」のではなく「希望があるから住み続ける・戻ってくる」地域に変えたい、という思いが込められています。
ポイント
- ゴールは「安全」「医療・福祉」「質の高い教育」「働く場所」の4つがそろった社会。
- 対象は特定の地域ではなく、47都道府県すべて。
- 人口減少で生まれる「将来への不安」を「希望」に変えることが出発点。
よくある疑問
Q地域未来戦略は、地方だけのための政策ですか?
地方の経済を強くすることが中心ですが、ゴールは「47都道府県のどこに住んでいても」です。原文では、地方から日本全体を成長軌道に押し上げる、とも書かれています。地方が元気になることは、日本全体の成長にもつながる、という考え方です。
1-2なぜ「強い地域経済」なのか ― 地方部はGDPの約半分#
Qなぜ地域未来戦略は「強い地域経済」を一番重視しているのですか?
答え:暮らし・医療・教育を守る土台は「強い地域経済」。地方部(8都府県を除く39道県)は日本のGDPの約半分を占める。人口減少→消費の減少→地域経済の縮小、という流れを断ち切るのが狙い。
原文 地域未来戦略 (p.1)
このような社会を実現するためには、何よりもまず、強い地域経済を構築することが重要である。我が国経済において、地方部の GDP(国内総生産)が半分程度を占めており注2、地方部の経済成長が重要である一方、地方部では人口減少が急速に進んでおり、消費の減少を通じて地域経済全体の縮小につながることが懸念されている。そのため、強い経済基盤を全国各地に構築することにより、地域経済を大きく発展させ、地方から日本を成長軌道に押し上げていく。
脚注
注2内閣府「県民経済計算」を基に、地方部における 2022 年の県内総生産(生産側、実質)を集計。地方部は、埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・愛知県・京都府・大阪府・兵庫県の8都府県(都市圏)を除いた 39 道県とした。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説
前の節の4つのゴールを実現するには、まずお金を稼ぐ力、つまり地域経済が強くなければならない。これが地域未来戦略のいちばん大事な考え方です。病院も学校もバスも、それを支える税収や利用者、働く人がいなければ続きません。
ここで出てくる数字がポイントです。東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・京都・大阪・兵庫の8都府県(都市圏)を除いた39道県の「地方部」が、日本のGDP(国内総生産。国の中で1年間に生み出されたもうけの合計)の半分程度を生み出しています(注2の内閣府「県民経済計算」による2022年の数字)。
つまり、地方は「助けてもらう側」ではなく、日本経済の半分を支える主役です。その地方で人口が減ると、買い物をする人が減り(消費の減少)、お店や会社の売上が落ち、地域経済全体が縮んでしまいます。だからこそ、地方に強い経済の基盤をつくり、地方から日本を成長させよう、というわけです。
ポイント
- 暮らし・医療・教育を守る土台は「強い地域経済」。
- 地方部(8都府県を除く39道県)は日本のGDPの約半分を占める。
- 人口減少→消費の減少→地域経済の縮小、という流れを断ち切るのが狙い。
よくある疑問
Q「地方部」とはどこのことですか?
原文の脚注2で、埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・愛知県・京都府・大阪府・兵庫県の8都府県を「都市圏」とし、それ以外の39道県を「地方部」としています。たとえば北海道、宮城県、広島県、福岡県なども「地方部」に入ります。
1-3日本成長戦略と一緒に回す「好循環」#
Q地域未来戦略と日本成長戦略はどんな関係ですか?
答え:地域未来戦略は、日本成長戦略(令和8年7月21日閣議決定)と一体で進める。目指すのは「投資→供給力→賃金→消費→収益→税収」の好循環。実質賃金で年1%程度の上昇の定着と、中小企業の労働生産性の向上が目標。
原文 地域未来戦略 (p.1)
強い地域経済を構築するためには、従来とは異なる大胆な発想での取組を進めていくことが必要である。「日本成長戦略」注3(以下「成長戦略」という。)とともに、官民投資を誘発し、供給力を強化し、実質賃金で年1%程度の上昇の定着と中小企業の労働生産性の増加を目指し、雇用と所得を増やし、消費マインドを改善し、事業収益が上がり、税率を上げずとも税収が自然増に向かう、GDP 拡大の下での好循環を実現していく。各地方で大小の産業クラスターを戦略的に形成することによって、地域での投資を促進し、働く場所を創り、それを支える人材育成のエコシステムを生み出していく。
脚注
注3令和8年7月 21 日閣議決定。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説
この節は、地域未来戦略が「日本成長戦略」とセットの戦略だということを示しています。日本成長戦略は、地域未来戦略と同じ令和8年7月21日に閣議決定された、日本全体の経済成長の戦略です(注3)。
原文に書かれた「好循環」を、順番に並べてみましょう。
- 国と民間が一緒に投資する(官民投資)
- モノやサービスを生み出す力が強くなる(供給力の強化)
- 給料が上がる(実質賃金で年1%程度の上昇を定着させる)
- 雇用と所得が増え、人々が安心してお金を使う(消費マインドの改善)
- 会社がもうかる(事業収益が上がる)
- 税率を上げなくても税収が自然に増える
「実質賃金」とは、物価の上がり分を差し引いた、本当の意味での給料の伸びのことです。物価が3%上がっても給料が3%しか上がらなければ、生活は楽になりません。物価以上に給料が上がる状態を毎年続けよう、というのが「年1%程度の上昇の定着」です。
そして地方では、この好循環のエンジンとして大小の「産業クラスター」をつくります。産業クラスターとは、関係する会社や研究機関、学校などがひとつの地域に集まり、互いに取引したり人材を育てたりしながら一緒に成長する「産業のかたまり」のことです。
ポイント
- 地域未来戦略は、日本成長戦略(令和8年7月21日閣議決定)と一体で進める。
- 目指すのは「投資→供給力→賃金→消費→収益→税収」の好循環。
- 実質賃金で年1%程度の上昇の定着と、中小企業の労働生産性の向上が目標。
- 地方での好循環のエンジンが「産業クラスター」と、それを支える人材育成の仕組み(エコシステム)。
よくある疑問
Q「税率を上げずとも税収が自然増」とはどういう意味ですか?
税金の割合(税率)を引き上げるのではなく、会社のもうけや人々の給料が増えることで、結果として納められる税金の総額が増える、という意味です。経済のパイそのものを大きくして、財源を生み出そうという考え方です。
1-4政策パッケージと「3つの型」の計画#
Q地域未来戦略の3類型の計画とは何ですか?
答え:計画は3つの型:A 戦略産業クラスター計画、B 地域産業クラスター計画、C 地場産業成長プラン。Aは国の17の戦略分野、Bは都道府県主導、Cは市町村又は都道府県が地場産業を伸ばす。3類型は、関係副大臣等会議決定の「地域未来戦略の政策パッケージ」(令和8年6月24日)が出発点。
原文 地域未来戦略 (p.1)
このような経済に重きを置いた取組を進めていくために、地域未来戦略に関する関係副大臣等会議において、地方に大規模な投資を呼び込み、各地に産業クラスターを戦略的に形成していくとともに、地方の大きな伸び代である多様で魅力ある地域資源を最大限に活用し、地場産業を含む地域の産業、地域経済の持続的な成長を図っていくための「地域未来戦略の政策パッケージ」注4を取りまとめた。成長戦略における 17 の戦略分野注5に関連する企業の大規模投資を起点として産業クラスターを形成する戦略産業クラスター計画、都道府県が主体となって産業クラスターを形成する地域産業クラスター計画、市町村又は都道府県がその地域に根ざす農林水産業、食品加工業、観光・スポーツビジネス、伝統工芸品等、地域資源を活用した多様な産業の発展を促す地場産業成長プランの3類型の計画で強い地域経済の構築を目指す。
脚注
注4地域未来戦略に関する関係副大臣等会議決定(令和8年6月 24 日)。
注5AI・半導体、デジタル・サイバーセキュリティ、情報通信、量子、防衛産業、航空・宇宙、海洋、造船、マテリアル(重要鉱物・部素材)、合成生物学・バイオ、創薬・先端医療、資源・エネルギー安全保障・GX、フュージョンエネルギー、防災・国土強靱化、港湾ロジスティクス、フードテック、コンテンツの 17 分野。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説
ここで、地域未来戦略の中心になる「3類型の計画」が初めて登場します。原文は長い一文ですが、整理するとこうなります。
| 型 | 計画の名前 | 中心になる主体 | ひと言でいうと |
|---|---|---|---|
| A | 戦略産業クラスター計画 | 国(+都道府県の提案) | 17の戦略分野の大企業の大規模投資から始まる、世界と戦う産業集積 |
| B | 地域産業クラスター計画 | 都道府県 | 都道府県が「うちの県はこれで稼ぐ」と決めて育てる産業集積 |
| C | 地場産業成長プラン | 市町村又は都道府県 | 農林水産業・食品加工・観光・スポーツ・伝統工芸など、地元に根ざす産業を伸ばす計画 |
「17の戦略分野」とは、日本成長戦略で国が重点的に投資すると決めた分野で、AI・半導体、造船、航空・宇宙、創薬・先端医療、コンテンツなどが入ります(注5に一覧があります)。
この3類型は、2026年6月24日の「地域未来戦略に関する関係副大臣等会議」で決まった「地域未来戦略の政策パッケージ」から来ています(注4)。各省庁の副大臣が集まって、省庁の壁を越えて地方の産業を応援する仕組みをまとめた、ということです。
大事なのは、大企業の巨大工場だけが主役ではないという点です。Cの地場産業成長プランのように、町の特産品や観光のような小さな産業も、きちんと計画の対象になっています。
ポイント
- 計画は3つの型:A 戦略産業クラスター計画、B 地域産業クラスター計画、C 地場産業成長プラン。
- Aは国の17の戦略分野、Bは都道府県主導、Cは市町村又は都道府県が地場産業を伸ばす。
- 3類型は、関係副大臣等会議決定の「地域未来戦略の政策パッケージ」(令和8年6月24日)が出発点。
よくある疑問
Q私の町には大きな工場がありません。地域未来戦略は関係ありますか?
関係があります。Cの「地場産業成長プラン」は、市町村が地元の農林水産業、食品加工業、観光・スポーツビジネス、伝統工芸品などを伸ばすための計画です。規模が小さくても、地域資源をいかして付加価値(もうけ)を増やし、域外の需要を取り込めれば対象になり得ます。
1-5お金の仕組み ― 投資枠・別枠のインフラ・地域未来交付金・地域未来枠#
Q地域未来戦略の計画には、どんな予算が使われるのですか?
答え:新設の『「強く豊かな日本」投資枠』も使って投資を進める。戦略産業クラスター計画のインフラ・拠点・サプライチェーン投資は、既存予算とは別枠。地域産業クラスター計画・地場産業成長プランは、インフラ整備+地域未来交付金の拡充で支える。
原文 地域未来戦略 (p.1〜2)
これらの計画を実現していくため、地域未来戦略に基づく投資は、新たに設ける『「強く豊かな日本」投資枠』も活用して強力に推進をしていく。また、戦略産業クラスター計画に関しては、「官民投資ロードマップ」に記載の「危機管理投資」、「成長投資」を起爆剤に、それを支えるインフラ整備や、産業クラスター形成に必要な鉄道や造船ドック、ロケット射場のような民間クラスター拠点の整備、17 の戦略分野を支えるサプライチェーン投資について、各計画地域から具体的に提案されるものについて、既存の予算とは別枠で大胆に進める。あわせて、地域発のアイデアに基づく、地域産業クラスター計画や地場産業成長プランを強力に推進するため、それを支えるインフラ整備を同様に進めるとともに、地域未来交付金を拡充して、地方公共団体が主体的に行う投資促進、販路拡大支援、経営力向上のためのソフト支援策等を支援し、地方公共団体と連携して地域発のアイデアを積極的に後押しするため、国の中堅・中小企業向け設備投資補助金や人材育成支援策に地域未来枠を設けるべく検討する。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説
この節は、地域未来戦略を動かす「お金の流れ」を説明しています。4つに分けると、わかりやすくなります。
- 『「強く豊かな日本」投資枠』:新しく設ける投資のための予算の枠です。地域未来戦略に基づく投資を、この枠も使って強く進めます。
- 既存の予算とは「別枠」のインフラ・拠点整備(主にA):戦略産業クラスター計画では、成長戦略の「官民投資ロードマップ」にある「危機管理投資」「成長投資」をきっかけに、それを支える道路や港などのインフラ、鉄道・造船ドック・ロケット射場のような拠点、サプライチェーン(部品や材料の供給網)への投資を、いつもの予算とは別の枠で大胆に進めます。
- 地域未来交付金の拡充(主にBとC):交付金とは、国から自治体に渡すお金のことです。地方公共団体が自分で考えて行う「投資の呼び込み」「販路の拡大」「経営力の向上」などのソフトな支援を、この交付金を増やして後押しします。
- 地域未来枠(検討中):国が中堅・中小企業に出している設備投資の補助金や人材育成の支援策の中に、地域の計画に位置付けられた企業向けの「地域未来枠」を設けることを検討します。
ここで注目したいのは「地域発のアイデア」という言葉です。国が全部決めるのではなく、自治体や地元企業が「うちはこれで勝負したい」と提案したものを、国がお金と制度で後押しする、という順番になっています。
ポイント
よくある疑問
Q「地域未来枠」はもう使えるのですか?
原文では「設けるべく検討する」と書かれており、この時点では検討段階です。実際にどの補助金に、いつから設けられるかは、今後の予算編成や各省庁の公募要領で確認する必要があります。
Q「既存の予算とは別枠」とはどういう意味ですか?
道路や港の整備には、もともと毎年の予算があります。その通常の予算の取り合いにならないよう、戦略産業クラスター計画に必要なインフラなどは、通常の予算とは別に枠を設けて進める、という意味です。
1-6予見可能性の高い「地域未来戦略予算パッケージ」#
Q地域未来戦略予算パッケージとは何ですか?
答え:「予見可能性」=先の見通しが立つこと。企業や自治体が安心して投資できるようにする。予算は補正予算頼みではなく、当初予算で大胆かつ計画的に措置する。「地域未来戦略予算パッケージ」は、事業者や自治体が見通しを立てやすい予算のまとまり。
原文 地域未来戦略 (p.2)
今後、「地域未来戦略予算のイメージ」に基づき、事業者や地方公共団体にとって予見可能性の高い「地域未来戦略予算パッケージ」を作成する。
こうした予算は、当初予算で大胆かつ計画的に措置し、予見可能性の高い予算措置の下で、国と地方公共団体が二人三脚で、日本列島に「産業クラスターの花」を咲かせていく。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説
ここで大切なキーワードは「予見可能性」です。難しい言葉ですが、意味は「先の見通しが立つこと」です。
企業が工場を建てるには、何年もかかります。もし「今年は補助金があるけど、来年はあるかわからない」という状態なら、企業は怖くて大きな投資を決められません。自治体も同じで、道路や港を何年もかけて整備する計画を立てにくくなります。
そこで地域未来戦略では、次のように予算を組むと宣言しています。
- 当初予算で措置する:年度の途中で急に追加する「補正予算」頼みではなく、毎年度の最初に組む本予算にきちんと載せる。
- 大胆かつ計画的に:思い切った規模で、しかも計画に沿って。
- 複数年度で見通せる形で:原文p.3の図では「予見可能性の高い複数年度での特別枠で措置」とされています。
「国と地方公共団体が二人三脚で、日本列島に『産業クラスターの花』を咲かせていく」という表現には、国だけ、自治体だけではなく、両方が足並みをそろえて進めるという意味が込められています。
ポイント
- 「予見可能性」=先の見通しが立つこと。企業や自治体が安心して投資できるようにする。
- 予算は補正予算頼みではなく、当初予算で大胆かつ計画的に措置する。
- 「地域未来戦略予算パッケージ」は、事業者や自治体が見通しを立てやすい予算のまとまり。
よくある疑問
Q当初予算と補正予算は何が違うのですか?
当初予算は、年度が始まる前に、その1年分の仕事とお金をまとめて決める本来の予算です。補正予算は、年度の途中で景気対策や災害などに対応するために追加・変更する予算です。補正予算は急に決まることが多いため、長い期間をかける投資には、当初予算のほうが見通しを立てやすくなります。
1-7国内投資マップと「広域民間連携」#
Q投資の進み具合はどうやって確認するのですか?
答え:国は投資の進み具合を細かく把握し、「国内投資マップ」を定期的に改訂・公表する。計画づくりは、経済団体・自治体・国の地方機関が連携して行う。経済界の「広域民間連携推進」の動きもいかす。
原文 地域未来戦略 (p.2)
47 都道府県全体で投資が着実に進んでいるかを確認しながら、対策を講じていくために、各地域で投資がどの程度進んでいるかをきめ細かく把握し、国内投資マップを定期的に改訂・公表する。
また、地域未来戦略の3つの類型の計画策定に当たり、各地の経済団体、地方公共団体及び各府省庁の地方機関の意思疎通・連携を促し、経済界の「広域民間連携推進」への機運をいかし、真に実効性のある計画策定につなげていく。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説
計画を作っても、実際に投資が進まなければ意味がありません。そこで国は、各地域でどれくらい投資が進んでいるかを細かく把握し、「国内投資マップ」として定期的に作り直して公表します。どこにどんな投資が集まっているかを地図で見える化すれば、遅れている地域にすぐ手を打てます。
もう一つのポイントは、計画づくりの段階から多くの人を巻き込むことです。各地の経済団体(商工会議所や経済同友会など)、都道府県や市町村、そして各府省庁の地方機関(経済産業局や地方整備局など、国の出先機関)が話し合い、連携して計画を作ります。
「広域民間連携推進」とは、経済界が県境を越えて連携しようという動きのことです。部品の取引や物流は県境で止まりません。経済界のその勢い(機運)をいかして、本当に動く計画にしよう、ということです。
ポイント
- 国は投資の進み具合を細かく把握し、「国内投資マップ」を定期的に改訂・公表する。
- 計画づくりは、経済団体・自治体・国の地方機関が連携して行う。
- 経済界の「広域民間連携推進」の動きもいかす。
1-8計画期間は2030年度まで ― これまでの地方創生も含む「全体戦略」#
Q地域未来戦略の計画期間はいつまでですか?
答え:計画期間は2030年度まで。新しい「強い地域経済」の取組と、これまでの地方創生の取組をまとめた全体戦略。まち・ひと・しごと創生法に基づく国の総合戦略。自治体は地方版総合戦略を作るよう努める。
原文 地域未来戦略 (p.2)
以上を踏まえ、強い地域経済の構築に重点を置いた新たな取組に加え、これまでの地方創生で進めてきた取組も含めた全体戦略として、2030 年度までを計画期間とする「地域未来戦略」注6(以下「本戦略」という。)を取りまとめる。
脚注
注6各地方公共団体においては、本戦略を勘案し、「地方版総合戦略の策定・効果検証のための手引き」(令和7年 12 月版)も参照しながら地域の実情に応じた地方版総合戦略を策定するよう努めるとともに、地方公共団体自らの創意工夫により、地域の特性をいかした取組を地域の多様なステークホルダーと連携しながら進めていく。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説
地域未来戦略の計画期間は2030年度までです。
ここで押さえておきたいのは、地域未来戦略が「新しい取組」と「これまでの地方創生の取組」の両方を含む全体戦略だということです。強い地域経済の構築という新しい柱に重点を置きつつ、子育て支援や移住促進、地域交通の確保など、これまで地方創生で進めてきた取組もこの戦略の中に入っています(第3章の第2節以降で詳しく出てきます)。
また、注1にあるとおり、地域未来戦略は「まち・ひと・しごと創生法」に基づく国の総合戦略です。令和7年12月23日に閣議決定された「地方創生に関する総合戦略」を変更するものとして策定されました。法律に根拠がある、国の正式な地方創生の戦略だということです。
注6には、自治体への呼びかけも書かれています。各都道府県・市町村は、この戦略を参考にして、それぞれの地域に合った「地方版総合戦略」を作るよう努めることになっています。
ポイント
- 計画期間は2030年度まで。
- 新しい「強い地域経済」の取組と、これまでの地方創生の取組をまとめた全体戦略。
- まち・ひと・しごと創生法に基づく国の総合戦略。自治体は地方版総合戦略を作るよう努める。
よくある疑問
Q自治体は何をすればよいのですか?
まず、この戦略を参考にしながら、地域の実情に合った「地方版総合戦略」を作る(見直す)ことが求められています(注6)。そのうえで、地域の産業の状況に合わせて、地域産業クラスター計画(都道府県・政令指定都市)や地場産業成長プラン(市町村又は都道府県)の作成を検討することになります。
1-9地域未来戦略予算のイメージ(原文の図を表に整理)#
Q地域未来戦略予算のイメージ図には何が書かれていますか?
答え:図全体:予見可能性の高い複数年度の特別枠で措置(予算編成の過程で検討)。Aは国が別枠でインフラと企業拠点、サプライチェーン投資まで支援。BとCは地域未来交付金の拡充と地域未来基金費で、自治体が主体的に支援。
原文p.3は、3類型ごとの予算のイメージを示した図です(「予算編成過程で検討」と書かれています)。図の中の文章を、類型ごとに表に整理しました(表の形は記事の著者による整理です)。図全体には「以下いずれも、予見可能性の高い複数年度での特別枠で措置」と書かれています。
| 項目 | A 戦略産業クラスター計画 | B 地域産業クラスター計画 | C 地場産業成長プラン |
|---|---|---|---|
| インフラ・拠点 | 大胆な投資と一体でのインフラ・拠点整備。①計画に位置付けられる公共インフラ整備を重点的に推進(道路、工業用水、上下水道、港湾など幅広い公共インフラが対象。地方公共団体の負担には適切な地方財政措置を講ずる)。②計画に位置付けられる企業等が所有する拠点整備(例:半導体拠点と空港とのアクセス鉄道、共用造船ドック)を推進。①②とも複数年度の特別枠で一括して管理する仕組みを設け、既存の予算とは別枠で、当初予算で大胆かつ計画的に進める | クラスター形成に向けた投資・環境整備。地域未来交付金を拡充し、地方公共団体が主体的に行う設備投資、研究開発、人材育成を含めた幅広い企業向け支援や、道路、港湾等のインフラ整備への支援を推進。インフラ整備はAと同様に既存の予算とは別枠で、当初予算で大胆かつ計画的に進める | Bと同じ(地域未来交付金の拡充、インフラ整備はAと同様に別枠) |
| 地方の自主財源 | ― | 地域未来基金費も積極的に活用できるよう、都道府県から市町村への適切な配分を促すとともに、今後、必要な地方財政措置を講ずる | Bと同じ |
| 企業への支援 | クラスター形成に向けたサプライチェーン投資。大規模投資を行う中核企業のサプライチェーンを構成する企業(例:造船クレーンの製造企業)の関連投資を分野横断的に支援(当初予算として計上し、複数年度で管理。特別枠も活用しながら大胆に進める) | 地域産業クラスターの核となる企業に重点化を行う各府省庁の設備投資促進予算(例:中小企業向け補助金)に地域未来枠を設けるべく検討(当初予算として計上し、複数年度で管理) | ― |
| 国の関わり | ― | 伴走支援や海外展開など、地域共通の課題に、国が一歩前に出て対応 | Bと同じ |
| 人材育成 | 産業人材の需要に基づき、高専、専門学校、専門高校を含む実業系教育機関を活用した地域の産学官連携について、地域未来枠を設けるべく検討 | Aと同じ | Aと同じ |

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説
この図を一言でまとめると、「型によって、国の関わり方とお金の出し方が違う」ということです。
- A(戦略産業クラスター)は、国が主役です。巨大な投資に合わせて、道路・港・工業用水といった公共インフラだけでなく、空港へのアクセス鉄道や共用の造船ドックのような「企業が持つ拠点」まで、国が別枠の予算で整備を後押しします。大企業と取引する部品メーカーなどの「サプライチェーン投資」も支援対象です。
- B(地域産業クラスター)とC(地場産業成長プラン)は、自治体が主役です。国は地域未来交付金を増やして、自治体が自分で考えた企業支援やインフラ整備を後押しします。自治体の自主財源である地域未来基金費(地方財政計画に計上されたお金)も、都道府県から市町村へ適切に配分されるよう国が促します。
- 人材育成は3つの型すべてに共通です。高専・専門学校・専門高校など「実業系」の学校と、地元企業・自治体が組む産学官連携に「地域未来枠」を設ける方向で検討されています。
高校生のみなさんにとっては、最後の人材育成の部分が特に身近です。地元の専門高校や高専で学んだことが、そのまま地元の成長産業での仕事につながる。そんな流れを国が予算で応援しようとしているのです。
ポイント
- 図全体:予見可能性の高い複数年度の特別枠で措置(予算編成の過程で検討)。
- Aは国が別枠でインフラと企業拠点、サプライチェーン投資まで支援。
- BとCは地域未来交付金の拡充と地域未来基金費で、自治体が主体的に支援。
- 人材育成(高専・専門学校・専門高校など)は3類型共通で地域未来枠を検討。
出典・参考資料
- 内閣官房「地域未来戦略」(令和8年7月21日閣議決定)本文 p.1〜3: https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/chiikimirai/pdf/20260721_honbun.pdf
出典:「地域未来戦略」(令和8年7月21日閣議決定)(内閣官房ホームページ)(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/chiikimirai/pdf/20260721_honbun.pdf)を加工して作成。「原文」欄は原文のまま掲載し(改行・脚注の位置のみ読みやすく整理)、見出し・解説・ポイント・Q&Aは村井宗明/日本DX応援団が作成しました。