第3章第1節 国の伴走支援体制
国の伴走支援とは?ワンストップ相談窓口と計画策定・実行支援
計画は、作って終わりではありません。このページでは、地域産業クラスター計画や地場産業成長プランに挑む自治体を、国が「計画づくり」と「実行」の両方で横から支える仕組み、伴走支援体制を読みます。府省庁の縦割りをなくし、相談窓口・データ分析・人の派遣まで用意するのが特徴です。
このページの要点
- 12-1国は縦割りを排し、各府省庁の地方支分部局が連携して、計画の策定から実行(PDCAのフォローアップ、計画の具体化・高度化)まで伴走支援する。計画策定支援では、ワンストップの相談窓口で支援メニューと優良事例を紹介し、内閣官房と経済産業省が計画案を事前に確認して磨き上げを支援する。
- 12-2実行支援では、地域経済循環分析などのデータ分析や政策の企画立案・効果検証を支援し、課題が出れば地方支分部局が連携して調整する。ベストプラクティスを全国に共有し、派遣などの人的支援も活用する。
- 12-3企業・事業主体向けには、JETROやよろず支援拠点など企業を直接支援する機関について、地方公共団体が問い合わせできる連絡窓口を国がつくる。
12-1伴走支援の考え方と計画策定支援 ― ワンストップ相談窓口と事前確認#
Q地域未来戦略の「国の伴走支援」とは何ですか?計画づくりでどんな支援がありますか?
答え:国の伴走支援とは、縦割りを排して各府省庁の地方支分部局が連携し、大胆な計画実現を目指す地方公共団体を、計画の策定から実行・高度化まで支えること。対象は地域産業クラスター計画と地場産業成長プランの策定支援に加え、PDCAメカニズムにおけるフォローアップ、継続的な計画の具体化・高度化。計画策定支援として、ワンストップの相談窓口で各府省庁の支援メニューと優良事例を紹介し、内閣官房と経済産業省が計画案を事前に確認して磨き上げを支援する。
原文 地域未来戦略 (p.25)
5. 国の伴走支援体制
国は、縦割りを排し、各府省庁の地方支分部局が連携して、大胆な計画実現を目指す地方公共団体に対する伴走支援を行う。地域産業クラスター計画及び地場産業成長プランの策定支援のみならず、PDCA メカニズムにおけるフォローアップ、継続的な計画の具体化・高度化に対して支援を行う。
(1) 計画策定支援
○地方公共団体向け支援
✓ワンストップの相談窓口の仕組みを活用し、相談事項に応じて、各府省庁の支援メニュー及び優良事例を紹介する。
✓地域産業クラスター計画案及び地場産業成長プラン案に対して、内閣官房及び経済産業省が要件の充足状況等を事前に確認し、必要なアドバイスを提供する等の磨き上げを支援する。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説
伴走支援とは、マラソンの伴走者のように、自治体の横を一緒に走りながら支える支援のことです。お金を渡して終わり、書類を審査して終わり、ではなく、計画づくりから実行までずっと付き添うのがポイントです。
冒頭の段落には、大事な言葉が2つあります。
- 縦割りを排し:国の仕事は、農業は農林水産省、工場は経済産業省、道路は国土交通省……と省ごとに分かれています(縦割り)。自治体から見ると「どこに相談すればいいかわからない」ことになりがちです。そこで省の壁を越えて連携する、という宣言です。
- 地方支分部局:各府省庁が地方に置いている出先機関のことです。たとえば経済産業局、地方整備局、地方農政局などがこれにあたります。東京の本省ではなく、地域に近い国の機関が連携して支えるという意味です。
支援の対象は、計画の策定だけではありません。PDCAメカニズムでのフォローアップや、計画を続けて具体化・高度化していくことまで含まれます。
(1)計画策定支援は2本立てです。
| 支援 | 内容 | ひとことで |
|---|---|---|
| ワンストップの相談窓口 | 相談事項に応じて、各府省庁の支援メニューと優良事例を紹介 | 「ここに聞けば全部わかる」入口 |
| 事前確認と磨き上げ | 内閣官房と経済産業省が計画案の要件の充足状況等を事前に確認し、必要なアドバイスを提供 | 提出前の「添削」 |
「磨き上げ」という言葉が象徴的です。計画案を不合格にするための審査ではなく、より良い計画にするための助言が期待されています。
ポイント
- 国の伴走支援とは、縦割りを排して各府省庁の地方支分部局が連携し、大胆な計画実現を目指す地方公共団体を、計画の策定から実行・高度化まで支えること。
- 対象は地域産業クラスター計画と地場産業成長プランの策定支援に加え、PDCAメカニズムにおけるフォローアップ、継続的な計画の具体化・高度化。
- 計画策定支援として、ワンストップの相談窓口で各府省庁の支援メニューと優良事例を紹介し、内閣官房と経済産業省が計画案を事前に確認して磨き上げを支援する。
よくある疑問
Q伴走支援は、市町村でも受けられますか?
原文では、伴走支援の対象は「大胆な計画実現を目指す地方公共団体」とされ、地域産業クラスター計画(都道府県が中心)と地場産業成長プラン(市町村又は都道府県)の策定支援が挙げられています。市町村も対象になり得ます。窓口の具体的な場所や手続は、所管府省庁の公表資料で確認してください。
12-2実行支援 ― データ分析・課題調整・優良事例・人的支援#
Q計画を実行する段階で、国は自治体をどう支援しますか?
答え:実行支援として、地方公共団体が主体的にPDCAメカニズムを回せるよう、地域経済循環分析等のデータ分析や政策の企画立案・効果検証を支援する。計画の実行で発生した課題について、各府省庁の地方支分部局が密に連携して必要な調整を行う。産業クラスター形成や地場産業成長のベストプラクティスを収集・提供し、日本全体の取組を高度化する。
原文 地域未来戦略 (p.25〜26)
(2) 実行支援
○地方公共団体向け支援
✓地方公共団体が主体的に PDCA メカニズムを実行できるよう、地域経済循環分析等の地域経済に関するデータ分析や、政策の企画立案・効果検証等を支援する。
✓地域産業クラスター計画及び地場産業成長プランを実行するに当たり、発生した課題に関して各府省庁の地方支分部局が密に連携して必要な調整を行う。
✓産業クラスターの形成や地場産業の成長におけるベストプラクティスを収集し、地方公共団体に対して提供することを通じて、日本全体での取組を高度化する。
✓官民を問わず、必要とされる有為な人材が地域で活躍できるよう、国・地方を挙げて、派遣や伴走支援等による人的支援を活用するとともに、円滑な人的支援のための環境を整備する。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説
計画づくりの次は、計画を動かす段階の支援です。地方公共団体向けに4つの「✓」があります。
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データ分析と政策づくりの支援 自治体が自分の力でPDCA(計画→実行→評価→改善)を回せるよう、データ分析や政策の企画立案・効果検証を手伝います。例に挙がっている地域経済循環分析は、地域の中でお金がどう生まれ、どこへ流れ、どれだけ地域の外に出ていってしまうかを調べる分析です。「お金の流れの健康診断」のようなものだと考えるとわかりやすいでしょう。
-
課題の調整 計画を進めると、「この規制はどの省の担当?」「補助金と道路整備のタイミングが合わない」といった課題が必ず出ます。そのとき、各府省庁の地方支分部局が密に連携して調整します。
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ベストプラクティスの共有 うまくいった取組(ベストプラクティス)を国が集めて自治体に提供し、日本全体の取組のレベルを上げます。ある町の成功例を、別の町がまねできるようにするわけです。
-
人的支援 官民を問わず、必要な人材が地域で活躍できるよう、派遣や伴走支援による人的支援を活用し、そのための環境も整えます。お金や情報だけでなく「人」を送る支援です。
4つ目が特に重要です。前のページのAXでも見たとおり、多くの自治体の課題は「人が足りない」ことでした。データ分析や政策づくりのノウハウを持つ人が地域に来てくれることは、小さな自治体にとって大きな力になります。
ポイント
- 実行支援として、地方公共団体が主体的にPDCAメカニズムを回せるよう、地域経済循環分析等のデータ分析や政策の企画立案・効果検証を支援する。
- 計画の実行で発生した課題について、各府省庁の地方支分部局が密に連携して必要な調整を行う。
- 産業クラスター形成や地場産業成長のベストプラクティスを収集・提供し、日本全体の取組を高度化する。
- 官民を問わず、派遣や伴走支援等による人的支援を活用し、そのための環境を整備する。
よくある疑問
Q地域経済循環分析とは何ですか?
地域の中で生まれた所得が、地域内で使われているのか、地域外に流れ出ているのかなど、地域経済のお金の流れを調べる分析です。原文では、自治体が主体的にPDCAメカニズムを実行するためのデータ分析の例として挙げられています。
12-3企業・事業主体向け支援 ― JETROやよろず支援拠点につなぐ連絡窓口#
Q地域の企業の海外展開や経営相談は、自治体経由でどこにつなげばよいですか?
答え:企業・事業主体向け支援として、JETROやよろず支援拠点など、企業や事業主体を直接支援する各府省庁と所管の外部機構について、地方公共団体が照会できる連絡窓口を構築する。JETROは海外展開支援、よろず支援拠点は経営支援を行う機関として挙げられている。自治体の相談窓口から専門の支援機関へつなぐ道筋をつくることが目的。
原文 地域未来戦略 (p.26)
○企業・事業主体向け支援
✓海外展開支援を行う JETRO注14や経営支援を行う「よろず支援拠点」等の企業や事業主体を直接支援する各府省庁及び各府省庁所管の外部機構について、地方公共団体が照会可能な連絡窓口を構築する。
脚注
注14独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO:Japan External Trade Organization)。

地域未来AIの開発者・記事の著者の解説
最後の1つは、企業や事業主体を支える支援です。ただし、国が企業を直接支援するしくみを新しく作るというより、自治体と、企業を支援する機関とをつなぐための仕組みです。
原文に例として挙がっている機関は2つです。
| 機関 | 主な役割(原文) |
|---|---|
| JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構) | 海外展開支援 |
| よろず支援拠点 | 経営支援 |
自治体の職員が、地元の事業者から「海外に売りたい」「経営の相談をしたい」と言われたとき、どの機関のどこに問い合わせればよいかがすぐわかるよう、各府省庁や、府省庁が所管する外部機構について、地方公共団体が照会可能な連絡窓口を構築します。
地場産業成長プランでは、市町村が事業主体向けの「相談窓口」を置くことが要件でした。その市町村の窓口が、ここでつくられる国側の連絡窓口を通じて専門機関につながれば、「役所に相談したら、海外展開の専門家につないでもらえた」という流れができます。地域の小さな事業者にとって心強い仕組みです。
ポイント
- 企業・事業主体向け支援として、JETROやよろず支援拠点など、企業や事業主体を直接支援する各府省庁と所管の外部機構について、地方公共団体が照会できる連絡窓口を構築する。
- JETROは海外展開支援、よろず支援拠点は経営支援を行う機関として挙げられている。
- 自治体の相談窓口から専門の支援機関へつなぐ道筋をつくることが目的。
よくある疑問
Q企業が直接JETROやよろず支援拠点に相談してはいけないのですか?
原文は、地方公共団体が照会できる連絡窓口を構築するとしているだけで、企業が直接相談することを妨げるものではありません。自治体を通じても、必要な支援機関につながりやすくするための仕組みと読めます。
出典・参考資料
- 内閣官房「地域未来戦略」(令和8年7月21日閣議決定)本文 p.25〜26: https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/chiikimirai/pdf/20260721_honbun.pdf
- 地域産業クラスター計画・地場産業成長プランの事前確認の流れは、本文 p.9〜13(このサイトの「B 地域産業クラスター計画」「C 地場産業成長プラン」のページ)に書かれています。
出典:「地域未来戦略」(令和8年7月21日閣議決定)(内閣官房ホームページ)(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/chiikimirai/pdf/20260721_honbun.pdf)を加工して作成。「原文」欄は原文のまま掲載し(改行・脚注の位置のみ読みやすく整理)、見出し・解説・ポイント・Q&Aは村井宗明/日本DX応援団が作成しました。